
やぎ座
すごく大変なことではあるけれど
既存システムの中で浮いている存在こそ希望
今週のやぎ座は、体内化しがちな身体的反応を体外化する<オンナ>のごとし。あるいは、身体感覚からシステムを変えてゆく可能性を追求していこうとするような星回り。
日本社会は「女性にとってフェアでない」社会であるという指摘を目にするたびに、思い出される言葉があります。それは整体指導者の片山洋次郎の「<オトコ>は体外に構造物を作ろうと」し、「<オンナ>は体内化しようとする、あるいは身につけようとする」というもの(『整体。共鳴から始まる』)。
片山は、そもそも男と女というのは180度反対のものではなく、90度くらいの関係にあるのではないかと指摘した上で、ひとりの身体のなかにある二つの異なるベクトル成分を<オトコ>と<オンナ>として捉えているのですが、「あらゆるルールや枠組み、様式、組織、システム、権力といった社会的な構造物や表現形式は一人の人間の中でも、<オトコ>性が造ったものである」と述べつつも、現代のような高速度な社会生活の場では、かえって「<オトコ>はシステムに飲み込まれてしまって何も見えなくなってしまっている」一方で、「<オンナ>はシステムから相対的に「浮いている」存在であるからこそ、逆に批判も、表現も、創造もできるという立場に変わりつつあるのだ」と指摘しています。
そして、片山はそこからさらに一歩踏み込んで、「身体感覚からシステムを変えてゆく可能性をもっているのは<オトコ>でなく、<オンナ>だろう。そのためには身体的反応を単に体内化してしまうのではなく、さらに体外化することによってバランスをとるべきである」とも述べています。
ここで言う「体内化」とは、摂食障害のような、食べて吐くの繰り返しをイメージすると分かりやすいと思います。実際に世界を変える可能性はそっちではなく、逆に<オンナ>が「身体反応を積極的に表現する」という体外化のほうへサイクルを転化していくこと。
とはいえ、現実に社会に存在するジェンダーバイアスは<オンナ>のエネルギーの体外化を抑圧する構造で幼少期から刷り込み、情報がそれを強化する方向に知覚を絶えず煽るので、実際にそれをやるのはすごく大変なことではあるけれど、もうそれをやっていくしかない。そして、そのためには煽りや抑圧に耐えうる「強力な身体性」を培っていくということが、今後ますます必要になっていくのだとも言えます。
10月30日にやぎ座から数えて「身体性の深まり」を意味する2番目のみずがめ座で上弦の月(行動の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、内なる<オンナ>のエネルギーの流れをできるだけ外へと転化させていくことを意識して過ごしてみるといいでしょう。
舌を使うということ
複雑な情報を処理している器官というと、どうしても頭の方ばかりに意識が向きがちですが、おそらく人間のもっている最も混合的な器官は耳か舌でしょう。
例えば、カレーを食べた後にアイスを食べたり、餃子を食べた直後に梅干しを食べたりできるように、どれだけ人見知りしない人であっても、舌が混合する許容度やスピードにはまったく敵わない。これは理屈ぬきに人間というものがそうできてしまっている訳です。
そしてこのことは「まる」とか「round」とか発音しているときの舌を改めて意識してみると、そこでもやはり理屈抜きに舌のかたちが意味そのものを実現してしまっていることがわかるはず。
試しに「しかく」とか「square」と発音してみると、舌がかちかち、がちがちしてちゃんと対照的になっていることからもわかるかと思います。頭で考えたり分かったりする以前に、身体の方で丸いものとしかくいものとを区別しているんですね。
ところが、今の私たちはどういう訳か「vision」と言えば「思想」のことであったり、視野とか視点とか、「~して“みる”」など、視覚的な比喩や視覚的な言葉のなかで、知的な物言いを再構成させる傾向にあります。
今週のやぎ座は、そうして普段なんとなく使ってしまっている言葉遣いや思考習慣をいったん脇において、自分の身をもって反応を味わい、そこから何かを語っていくところからやり直してみるといいでしょう。
今週のキーワード
視覚優位から味覚優位へ







