やぎ座
禁止と解放
繊月は何度でも
今週のやぎ座は、『切れさうな月あらはれる草いきれ』(三城佳代子)という句のごとし。あるいは、沈黙の中で育ってきた情念が言葉とともに放たれていくような星回り。
一見すると、まだ三日月にもいたらないような細長い月を、下手なひねりを加えることなく、ただそのまま詠んだだけの句のように思えます。
しかし、夏場の強烈な炎熱をおとろえることなく湛えている地上の様子を表現した「草いきれ」にじっと息をひそめていると、次第にこの句がもっている密度の濃さに、すなわち十分に言語化されてない省略の奥の沈黙に重たさに、ハッとさせられていくように感じられるのです。
グッグッグッグッ…
グッグッグッグッ……
「切れさうな月」は再読するたびに読者の中で光りが増していき、やがてほどなく明確な言葉を伴って世に放たれる時がやってくるはず。
しかし、逆に言えばとらえどころのない鬱屈した情念があるところには、鋭い白光を帯びた繊月が何度でもあらわれるのであり、ほどなくそこに心奪われ、自分でも気付かぬうちにルナティックになっていくという体験が訪れるのではないでしょうか。
その意味で、7月21日に自分自身の星座であるやぎ座で満月を形成していく今週のあなたもまた、いつからか光を増してきていたかつての繊月が時満ちて解き放たれていくのだと言えるかもしれません。
緊張と弛緩を織り交ぜる
しばらく解答の分からないウズウズしていた状態から、「ああ、そうか!」というひらめきの快感と弛緩が訪れることを「アハ体験」と呼びます。
よく知られた実験では、自分の頭の中に腫瘍があるとして、それを取り除く方法について思いついたことをすべて口に出し続けてもらう、ということをします。そして発言に対してその都度、「それだとこういうリスクがあるのでは?」と切り返して、真剣に考えてもらう。要はウズウズ状態を作り出す訳ですね。
すると、多くの被験者において、論理を飛躍して突然、「外からレーザーを一点に集中させて取り除く」といった突飛な結論(それでいて現在の最先端の医療技術の発想と重なるもの)を思いつくことがあるのだそうです。
大抵はなぜそんな結論が出てきたのかは分からない。けれどひらめきとは、そうした通常の思考の流れを一足飛びに超えるところからしか生まれてこないものものです。
その意味で、今週のやぎ座もまた、ウズウズできそうな問題やきっかけがやってきたら、積極的にそこにハマり込んでみるといいでしょう。
やぎ座の今週のキーワード
思考を一足飛びに超えること