やぎ座
老いは若さを兆すもの
古人と新人の交わり
今週のやぎ座は、「幼老包括」という語のごとし。あるいは、静的な背景からなまなましい思いが湧き上がってくるような星回り。
宗教学者の鎌田東二は『翁童論』の中で、かねてより子どもの中に老人が、老人の中に子どもが潜んでいることを主張してきましたが、これは子どもは現実世界においては新しい人であるけれど、この世にやってくる前の世界においては古い人(老人)であり、老人はその反対に、現実世界であるこの世では古い人であるが、あの世ではまったくの新人である、といった「輪廻転生」に基づいた人間観に基づいた考えなのだとも言えます。
「七歳までは神の内」「六十過ぎれば先祖に還る」ということわざのように、あの世というものを想定するならば、そこでは老いと若さとは、対称性をもった時間体験となり、老いは若さを兆すものであり、若さは老いを宿すものなのだと言えるでしょう。
このことは、ともすると責任と成熟を司る土星を守護星にもつやぎ座の人たちにとって、幼さや無邪気さ、おぼこさといった子どもの性質は最も克服すべきものである一方で、かえって歳をとり成熟していくほどにもう一度そこへ立ち返っていくべきものでもあるはず。
その意味で、24日にやぎ座から数えて「潜在意識」を意味する12番目のいて座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、あらためて自分のなかに若さの兆しを見出していくことがテーマとなっていきそうです。
アッラーの意外な答え
精神科医ロバート・コールズが長年かけて集めた子どもたちの内面世界における神秘体験について集めた『子どもの神秘体験 生と死、神・宇宙をめぐる証言』という本に、次のようなエピソードがありました。
それはイスラム教徒の子どもと話し合っていたとき、その子はいじめられっ子でしたが、何とか自分を強くしてほしいと頼んだら、アッラーが力を与えてくれたのか、ぐっと相手を睨みつけることが出来たのだと語ったと言います。
けれど、話はそこで終わらずに、その子は自分の願いに直接答えてほしいとアッラーに祈ったのだそうです。すると、神の声が聞こえてきて、「一生悩み続けていいのだ。悩みをしまいこんで忘れないよう祈りなさい」と語った。そしてその答えに、当惑してしまった。神ならばもっと明快な答えを与えてくれると期待していたのに、と。けれど、この答えについてしばらく考え続けた末に、「悩み続けることに意味がある」ことを悟ったのだと言うのです。
ここには、子どもたちが大人の体験するそれを超えた光を感じることがある一方で、大人の計り知れぬ闇をもまた経験しているのだという事実が垣間見れます。今週のやぎ座もまた、子どもに負けぬように、もう少し簡単には答えの出ない悩みについて、悩み続けてみてもいいのではないでしょうか。
やぎ座の今週のキーワード
問いこそ力の源