やぎ座
霊感の宿る余地
※1月10日〜16日の占いは、諸事情により休載いたします。誠に申し訳ございません。次回は1月16日(日)午後10時に配信いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ダ・ダ・ダ・ダーン!
今週のやぎ座は、「助けてくれ」と言えなかったベートーヴェンのごとし。あるいは、勇気を出して人から離れ、自分と向き合っていくような星回り。
28歳から耳がほとんど聞こえなくなっていたベートーヴェンは、しかしそのことを誰かに打ち明けることができませんでした。彼が残した手紙には、「もっと大きい声で話してください。叫んでください!私は耳が聞こえないのですから。私にはどうしても、そんなことをいうことができなかった」とあり、そのことを隠すため5年間にわたってなるべく人と会わないように暮らした結果、「世間嫌い、人嫌いのベートーヴェン」と噂を立てられ、さらに深く落ち込んでしまったのです。
ひとりきりの生活のなかで、怒りを自分自身に向けるようになった彼はついに自分の命を終わらせることさえ考えたようですが、孤独と絶望の中、ベートーヴェンはギリギリのところで「自分は音楽という芸術を作り出すまで、この世を見捨ててはならない」と気付き、これまで以上に作曲に打ち込み、交響曲第九番やミサ・ソレムニスといった後世に残る名曲の数々を生みだしていきました。
2022年1月3日に自分自身の星座であるやぎ座で新月を迎えていく今週は、もし今自分にできることややりたいことを見出し、それをやり遂げたいと思うなら、思い切って孤独の中に入って、そこに浸り切ってみるといいでしょう。
孤独のうちに予感は育つ
私たちが何か大事なことを解りかける時というのは、すべからく孤独なのではないでしょうか。つまり、安易なおためごかしで自分の魂の真実をごまかすようことは間違ってもないような、乾きとも凍えとも取れるようなものを肌で感じている時に初めて、私たちは本当の意味での理想とかビジョンといったものへと開かれていくのだ、と。
この点について心理学者のユングは最晩年に出版された『ユング自伝』において、次のように言及しています。
われわれがなんらかの秘密を持ち、不可能な何ものかに対して予感を持つのは、大切なことである。それは、われわれの生活を、なにか非個人的な、霊的なものによって充たしてくれる。それを一度も経験したことのない人は、なにか大切なことを見逃している
ユングからすると、生活の必要十分条件とは、どこかの時点で自分だけの秘密にならざるを得ないものであり、「よく生きる」ということは、恐らく何らかのかたちで「なにか非個人的な、霊的なもの」との折り合いを予感していくということであるはず。
今週のやぎ座は、そんな予感と秘密にひとり浸っていく時間をたとえわずかでも確保していきたいところです。
やぎ座の今週のキーワード
渇きと潤い