やぎ座
昼寝の後のぼんやり
こちらは10月18日週の占いです。10月25日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
「拡がり」の再発掘
今週のやぎ座は、ハイデッガーの「拡がり(Dimension)」という言葉のごとし。あるいは、改めて自身の現在地点を捉えなおしていこうとするような星回り。
考えてみれば、僕たちはいつだって、前のめりになって未来を先取りすぎてしまうか、逆に落ち込んだり気にし過ぎたりして過去に戻り過ぎてしまうかのどちらかに振り切れすぎており、<いまここ>にちょうどよく落ち着くことができずにいます。
その意味で、「いまは“まだ”・・・・でない」という意識と「いまは“もう”・・・・でない」という意識の双方に「いま」がパックリと口を開いているのだとも言える訳ですが、こうした「“もう”から“まだ”へ」という意識の移行を成立させる場所としての「いま」のことを、ハイデッガーは「拡がり(Dimension)」と呼びました。
これは通常は「次元」と訳されて、「三次元空間」とか「多次元宇宙」みたいな使われ方をしますが、もとはラテン語の「ディメチオール(測量する)」に由来していました。すなわち、断絶のない連続的なまとまりであることが「測る」の対象であり、少なくとも自身の感覚によって測ることのできる「拡がり」をもつある種の運動こそが「いま」の正体であるとハイデッガーは考えていた訳です。
20日にやぎ座から数えて「拠って立つ土台」を意味する4番目のおひつじ座で満月を迎えていく今週のあなたは、もう何者かである自分と、まだ何者でもない自分とのあいだに、どんな「拡がり」を見出していくでしょうか?そこに留意するべし。
意志は忘却から
前触れなく記憶の一部が消えてしまう健忘。時にはそれに、つまづくことの多い私たちの人生の道行きが大いに助けられることがあります。
未来は何かを「意志する」ことで始まっていくのだと、私たちはどこかで固く信じているところがありますが、それは裏を返せば過ぎ去った過去に背を向け、ただ未来だけをまなざし、これまでの一切から切り離された始まりであろうとすることでもあり、過去を不自然な形で「忘却したことにする」ことに他ならないのだとも言えます。
その意味で、何かを健忘してしまうということは、ごく自然なかたちで、意志による始まりのきっかけとなる訳ですが、もうこれは率直に言ってしまえば、意志の働きなんてものは忘却からしか発動し得ないある種の幻想なのではないでしょうか。
今週のやぎ座は、ある意味での忘却期間として、色んなことをすっかり忘れて、半径数メートルくらいの<いまここ>からやり直してみるくらいのつもりで過ごしていくといいかも知れません。
やぎ座の今週のキーワード
<拡がり>はちょうどよく落ち着く程度に