やぎ座
いっかいおやすみ
こちらは9月13日週の占いです。9月20日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
深みゆき
今週のやぎ座は、「遠くのひとと話せる装置秋の野に」(村越敦)という句のごとし。あるいは、圧倒的なインプットにたっぷりと浸っていくような星回り。
地味ではあるが、数多くの花が咲き、草むらではたえず虫の音がひびく「秋の野」をひとつの装置に見立てた一句。
近くにいるものと耳をすませば、遠くから虫の音が聞こえ、視線をあさっての方向に向ければ足元を見ろとばかりにおどかされる。秋の野にはそういう楽しさがありますが、それを「遠くのひとと話せる」と表わしたところに作者の内的世界の奥行きを感じます。
夢ともうつつとも定かならぬ視覚と聴覚のあわいに秋が深みゆくのと同期して、<私>もまたここではないどこかへと深みゆき、それとともにアクセスしていく記憶や景色も変わりゆき。
「秋の野」という「装置」は、そうして直接自分が見聞したことがないところへ導いてくれる天然のアトラクションであると同時に、いつの時代のどんな社会でも私たちの意識の背後に広がっているイマジナリーな沃野とも言えるのではないでしょうか。
14日にやぎ座から数えて「忘れていた豊かさ」を意味する12番目のいて座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、まずはそうした沃野にひとり静かに没入していくだけの時間を確保していくべし。
過去をドラマに変えていく
さながら、これまでの自分の自叙伝に手を入れていくように。そろそろ一度落ち着いて、あるいは改めてゆっくり自分を振り返る時間を持ちたい頃合いなのではないでしょうか。
そこでは例えば、今自分が歩いてきたこの道はこの先どこへ通じてゆくのか、そしてどこには通じていないのか、といったことが頭をよぎるでしょう。
先の景色を少しでも知っておきたいと気持ちが逸るかも知れませんが、まずは来た道を丁寧にたどっていく中で、自分が人生の分かれ道でいかなる動機に基づいて選択を行ってきたのか、それを丁寧に確かめていくことの方がはるかに大切なように思います。
ドラマには終わりがありますが、人生には終わりがなく、それゆえ過去というものはドラマとなり得るのですから。そこには「秋の野」のように、まだ自分でも気付いていなかった色の花や、聞いていなかった虫の音が残されているはず。
その意味で今週のやぎ座は、おぼろげな夢や記憶から、自分なりのドラマ=物語に必要な神話素を取り出し、力を蓄えていくくらいのつもりで過ごしていくといいでしょう。
やぎ座の今週のキーワード
重要なことは三回くりかえします