やぎ座
目に意志を宿すべし
時間の暗闇
今週のやぎ座は、「暗闇の目玉濡さず泳ぐなり」(鈴木六林男)という句のごとし。あるいは、時代と向き合うだけの「目」を確かにしていこうとするような星回り。
掲句で作者が泳いでいるのは、一体どこなのでしょうか。現代の感覚で想像するならプールですが、この句が作られたのは昭和23年(1946)。
作者は激戦地から帰還してきた負傷兵であり、だとすれば、戦地の沼や川、それとも海かもしれないと、さまざまな場面を思い浮かんできますが、おそらく空間的な暗闇ではなく、時間の暗闇だったのではないでしょうか。
すなわち、人生の一時期に突き落とされた、見も知らぬ他国の人間と殺し合いをしなければならないという大いなる理不尽を抱えた戦争という暗闇を九死に一生の思いで生き抜き、これからもまた敗戦後の社会という未知の暗闇を、ひたすらに生き抜くのだという作者の確かな意志がここに込められていたのではないかと。
そして、この「目玉」とは、時代の混沌のなかで何が真実で何が正義であるのかを見極めるための目でもあったはずです。
10日にやぎ座から数えて「問題との直面」を意味する7番目のかに座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、目に意志を込めていくことがテーマとなっていくでしょう。
人も歴史を繰り返す
最近、「人生のターニングポイント」と言えるような瞬間はありましたか?
たとえ今はそこまで大げさに考えられなくても、いずれ「あの時がそうだった」と言える日がくるかも知れませんね。逆に、あなたのちょっとした一言やさりげない行動が、誰かにとっての「人生のターニングポイント」となることだって十分にありえるはず。
その際、たいていの場合「歴史は繰り返される」という言葉の通り、ひとりの人生においても、何度も同じパターンが繰り返されているものだということも、どうか覚えておいてください。
今週のやぎ座は、自分や向き合っている相手は、その人生において一体どんなパターンやサイクルを繰り返してきたのか、という点を丁寧に見ていくことを心掛けていきたいところです。
やぎ座の今週のキーワード
歴史的想像力