やぎ座
脱・人間主義の道
退化ではなく螺旋
今週のやぎ座は、『僕は始祖鳥になりたい』というフレーズのごとし。あるいは、平面的な進化ではなくて螺旋のような進化を遂げていこうとするような星回り。
『僕は始祖鳥になりたい』というのは、宮内勝典さんが1998年に出した小説のタイトルで、スプーン曲げで有名になった清田益章をモデルにした超能力者を主人公にして、アリゾナの巨大なクレーターを訪ねていく話なのですが、そうした物語のディテール以前に、もうそのタイトルだけで奥深いメッセージとなっているように思います。
始祖鳥というのは恐竜と鳥のあいだをつなぐ古代生物ですが、ここでは私たち人間が未来に鳥であったり恐竜になったりと変形可能性について暗示されている。つまり動物になることは退化ではなくて、もっと進化することだという可能性が、ここで大胆にかつ抒情性をもって語られている訳です。
こうした話は、さいきん出版された鎌田東二さんとハナムラチカヒロさんの対談本『ヒューマンスケールを超えて―わたし・聖地・地球』(ぷねうま舎)の中で詳しく論じられているのですが、要はある種の先祖返りをするうちに、既存の在り方とは異なる意識や身体性へと変容していく。それが脱・人間主義的発想の原動力にもなっていくということ。
そしてこれは12星座の中で権力機構やヒエラルキー的なものと最も縁の深いやぎ座の人たちとって、特に重要な指摘ともなっているように思います。
その意味で、3月22日に試練と課題の星である土星が、やぎ座から数えて「自己価値」を意味する2番目のみずがめ座に入っていくあなたもまた、これから先を長い目で見た時に大事にしていくべき価値観や、この地上での在り方そのものの見直しを迫られていくことになるかも知れません。
ひとでなしになる
人型をなくし、まともな人間でなくなっていくことで、かえって人は自らを正しくエネルギーの場として思い出していく自由が与えられていきます。
例えば、お母さんの中から産まれてくる胎児が大きな「螺旋」を描いて、ずばーんと生まれてくる時というのも、人はエネルギーそのものであり、とびきり自由な存在でありましたが、いつからか人は純粋な意味でエネルギーの場であることをやめて、その流れをゆがめてしまうのです。
そういう意味では、ロレンスが「文明とは何か。それは発明品などよりも、感性の生活のうちに、明瞭な姿をあらわす」と言ったのは正しかったのだと言わざるを得ないでしょう。
今週のやぎ座は、これまであなたのエネルギーの流れを阻害してきた習慣や物理環境が見直され、鳥や恐竜など、いい意味で「ひとでなし」に近づいていくことで、スムーズにエネルギーを流していく回路を感じていくことができるはず。そうした瞬間をどうか見逃さないでください。
今週のキーワード
『ヒューマンスケールを超えて―わたし・聖地・地球』