やぎ座
さながら宇宙人のように
哲学者ラッセルの助言
今週のやぎ座の星回りは、ラッセルの指摘するところの「幸福をもたらすもの」のよう。すなわち、私心のない興味を持って世界を見渡していくこと。
冒頭のタイトルのエッセイのなかで、ラッセルは「この世の有益な仕事の半分は、有害な仕事と闘うことから成っている」というリアリストらしい極めて醒めた意見を披露していますが、一方で、下心のない好奇心を持つことの大切さについても強く力説しています。
いわく、人は自分の利害に関係のあることだけに熱中し、それが人間の活動全体のうちでいかに微々たるものなのかを忘れがちであるとした上で、「知識を身につける機会があれば、たとえ不完全なものでも無視するのは、劇場へ行って芝居を観ないのと同じだ」と述べるのです。
確かにこの世界は、悲劇的かつ喜劇的であるばかりでなく、奇怪な、また不思議な物事に充ちており、「世界の提供するこの壮大なスペクタクルに興味を持てない人びとは、人生の差し出す特典の一つを失っている」のかも知れません。
16日(日)にやぎ座から数えて「広いまなざし」を意味する11番目のさそり座で下弦の月(意識の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、差し当って自分の利害に直結しないだろう物事や知識へ積極的に手を伸ばしてみるといいでしょう。
宇宙から地球を見るように
この地球上には70億もの人がいて、今も人口はどんどん増えていってるのに、人生というゲームに同時に参加できる人数は両手で数えられる程度に限られているのは、なんとも不思議な話です。
しかし、そういう意味で、人は考えている以上に狭いつながりの中に生きているのにも関わらず、そのすべてのつながりを生かし切れず、その事実にもほとんどの場合気付けない。物事の在り様を正確に認識するには、それなりの距離を取る必要あるんです。
例えば、天空の城ラピュタの主題歌「君をのせて」という歌を聞いたことがある人なら分かると思いますが、あの歌詞は地球からはるかに離れた「ぼく」の、宇宙からの視点で語られています。
「あの地平線 輝くのは どこかに君をかくしているから
たくさんの灯が なつかしいのは あのどれかひとつに 君がいるから」
真っ暗な宇宙空間の中に青い地球が浮かびあがり、次第にわずかな地表部分に家々の灯りがともっているのが見えてくる。今週は視界の「開け」を持てるかどうかが、ひとつの焦点となってくるはずです。
今週のキーワード
視界の開けから、焦点の絞りへ