やぎ座
土地に根づく
想いと繋がる
今週のやぎ座は、神社は神社でも豪勢で威風を払うようなそれではなくて、民草に愛される「淫祠」のごとし。あるいは、自分という人間もまた1つの神の社として見ていくような星回り。
様々な動物が、異性を獲得するべく美しい羽根を広げてみせたり、自分の体を少しでも大きく見せて力を誇示したり、大きく硬く強い器や社を得て自分をそこに位置づけようとしている。
神社ということを考えるにあたって、そもそも神さまが住む家というのはどんな住み方が相応しいのかと考えたことはないでしょうか。
日本にはたくさんの神さまが住んでいる訳ですが、その多くは小さな神社に住んでおり、それらはいわゆる「淫祠」のかたちを取っています。
「淫祠」などと聞くとなにかとんでもないものを奉じているカルト宗教のイメージを浮かべるかもしれませんが、散歩をこよなく愛した永井荷風などは
「淫祠は大抵その縁起と、またはその効験のあまりに荒唐無稽な事から、何となく滑稽の趣を伴わすものである」
と述べて大変に愛でており、実際、仏教の教義にとらわれずに民衆の想いや願いが自然と集まって作られていった淫祠は、その地域のランドマークとして住民たちに愛され大切にされていることも少なくありません。
ここしばらく、やぎ座にとって少ししんどい時期が続いたもしれませんが、23日(火)にやぎ座から数えて「人との絆」を意味する8番目のしし座に入っていくと、人間関係において自身に落ち着きをもたらしてくれる重心を探りあてていくことがテーマとなっていくはず。
その際、できればあまり厳めしく大げさなものではなくて、小さく愛される社としての「淫祠」のイメージを念頭においていきたいところです。
土地が見る夢
どんなに人工的に構築された街であっても、そこに人が住んだ歴史がある限り、その土地の空気感を決定づける物語や夢の成分が混入してくるものです。
人が生きている現実もそれと同じで、決して不動産会社が取り扱うような情報や、家具や家電の種類やランク、職業や会社名や年収、スペック、家族構成などだけで成り立っている訳ではありません。
思えばかつての日本では、その土地ごとに古くからの言い伝えや伝説、怪異譚などの民間伝承が必ず残されており、それはその土地に生きる人々の生活誌や死生観の核心へ迫るにあたって、欠かすことのできない要素でありました。
今週は、普段はあまり特別意識することのない自分の心の深層で働くコンプレックスや、いま住んでいる土地の古い伝承や伝説などと、ディープにつながっていくための回路が開けてくるかもしれません。
近所の図書館などに行って、郷土史などを調べてみるのもいいでしょう。
今週のキーワード
ゲニウス・ロキ(土地の守護霊)