やぎ座
踏み出す一歩の重み
挑むべき大業
今週のやぎ座は、「鳶の輪を射ぬく春日や熊野灘」(堀本裕樹)という句のごとし。あるいは、理想の現実を立ち上げるため、みずからの想像力をそこへ与えていくような星回り。
輪を描くように飛ぶ鳶(とんび)を見上げると、春の日がその軌跡を射ぬくように差している。険しい断崖がつづき、鳥の楽園となっている熊野灘の景色が、俳句の韻律にのせてじつに伸び伸びと描き出されている一句です(第一句集『熊野曼荼羅』より)。
作者は俳人として生きていく上で、故郷である熊野の自然を句材として活かしていくことをどこかで強く心に誓った人なのだと思います。
それは自分ひとりの自己満足を追求して生きていくよりも、ずっと険しく厳しい道であることは明らかですが、ただそれによってひとりの個人を超えた大きな世界が開けてきたこともまた確かでしょう。
こうして俳人がみずからが挑むべき句材を見つけることで俳人となっていくように、人は自分なりのテーマや課題を得て、そこにみずからの力を注ぎこんでいくことで初めて大業を成していくことが可能になるのではないでしょうか。
改めて、いま自分の挑むべき大業とはどこにあるのか。6日(水)の天王星おうし座入り、7日(水)のうお座新月と続く今週は、ひとつそんなことを考えてみるのにちょうどいいタイミングと言えるでしょう。
月から太陽へのシフト
お月様。それは人間の原始的な本能をかき立てる言語無用の土石流。
論理的破綻なんぞどこ吹く風で、何度も繰り返されてきた過去と分かちがたく結びつきながら極端から極端へと行動や感情を振り切っていくエネルギーそのものと言えますが、今週はそれではダメなんです。
長い人生、どこかで何度かこれまでの既存のやり方に限界が来て頭打ちになるものですが、まさにあなたはそんな時期に来ているのかもしれません。
例えばあなたが辞書を手に持っていて、1000ページにも及ぶそれをいかにめくろうとも、昨夜見た夢の甘美を表す言葉を見つけることができなかったとしたら、あなたは今その思いの丈をいかに語り、いかに記すことができるでしょうか?
いま一度めくり返すことが必要なときもあるかもしれない。けれど、思い切って辞書を床において、一歩前へ進んでみることでしか何も語れないときもあるはず。
その意味で今週は、月の安息ではなく、太陽の与えてくれる一歩前へ踏み出す勇気を持って、臨んでいきたいところです。
今週のキーワード
おおきな世界は太陽が照らす