やぎ座
素朴に、ささやかに
幸福になるということ
今週のやぎ座は、誰かと面倒ながらも関わっては葛藤し続けていく人類の鑑のよう。あるいは、喜びの中の寂しさを、しみじみと味わっていくような星回り。
人間は人間である限り永遠に満たされない。なぜなら人間は幸福にすら飽きてしまうから。占いという形でいろんな人の人生に首を突っ込ませてもらっていると、時おりそんな風な思いに駆られることがあります。
素敵なパートナーに恵まれても、仕事で周囲が羨むような成功を収めても、人は誰かに飽きたり不満をもったり葛藤することを決してやめようとしない。でもでもだってを繰り返すことだけには飽きることがない。
人間の時間はいつまでも輪となってめぐることはなく、青白い顔をした金太郎飴のように直線に沿って前へ前へとひた走っていく。そういう人ほど、分かっていながらもやめられないのだと口々に言う訳ですが、きっと「欲ばり」と「不必要な自尊心」がそうさせるのでしょう。
7日にいて座で新月を迎えていく今週は、やぎ座の人たちにとってそうした直線モデルの生き様とは正反対の「繰り返される日常」への憧れを再燃させていくタイミングとなっていくでしょう。
それは幸福になるということの退屈と安心をいかにして受け入れていけるかというある種の試練なのだとも言えます。
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「瞬間なんか生きないようにしようね。瞬間の凄さとか輝きなど、無益でかりそめの夢のようなものだから。そんなことより、将来のためにいま克己努力し、学業や仕事にはげもう、未来時を大切にしよう。そうすれば、幸福な生活を約束します。」(古東哲明『瞬間を生きる哲学』)
いわゆるアリとキリギリスの教訓は、こうした現実観(リアリティー像)を植え付けることに一役買っています。
やぎ座の人というのは本能的にそうした現実観を義務や責務として背負いこみやすいのですが、ただ同時にそれをひっくり返すだけの馬力をも秘めているだけに、いったんひっくり返ってしまうと手がつけられないようなところもあります。
今週はもっと身近なところにあるシンプルで素朴な喜びに立ち返っていくことがテーマとなっていくでしょう。
今週のキーワード
二律背反的に日常に浸る