やぎ座
自分を仕上げるために
誰に何を恥じるか
今週のやぎ座は、「天瓜粉打ちて導師の席にあり」(福島せいぎ)という句のごとし。あるいは、人の目に見えないところで重ねられた努力によって、人として仕上がっていくような星回り。
天瓜粉(てんかふん)とはキカラスウリの根から採った打ち粉のことで、かつては小児の皮膚に散布し、あせも・ただれの予防などに用いられた。
葬儀の会場で、あるいは檀家の仏壇の前で、神妙な顔をしてお経をあげているお坊さんが、じつは衣の下に天花粉をしたたかに打っている。なるほど汗が吹き出さないようにという、事前の準備な訳ですが、どこかおかしみを感じてしまう。
作者は真言宗のお坊さんでもあったから、おそらくこれは自画像でもあったのでしょう。
自虐でも構わない。ただ、誰に何を恥じるか、ということが問題なのです。
人の目からスマートに見えるよう取り繕うための努力をするのではなく、たとえ滑稽に映ったとしても、内実をしっかりと固めていくための努力をしていく。そんな自分に恥じない姿勢を貫く態度こそが今週あなたが目指すべき姿なのだと言えます。
良心の疼きに反すべし
「彼がいまやっていることは、すべて立派で、道義的なことだ。——しかし彼はそのことに、良心の疼きを覚えている。なぜならば、並外れたことを行うのが、彼の使命だからだ。」(F・ニーチェ、『喜ばしき知恵』)
偉大な業績を残した人物というのは、しばしば生きているうちに賞賛者をほとんど(全くではない)得ないように、良心の疼きに反し続けるというのも、並外れた魂の持ち主に共通して垣間見える特徴と言えるかもしれません。
もちろん皆が皆、そうした魂の在り方を持ち続ける必要もないでしょうし、それだけの能力に恵まれている訳ではありません。しかし根本的なところでは、その時代の社会が設定している良し悪しの基準など、取るに足らないちっぽけなものだということです。
やりたいことがあるならば、それが正しいかどうかなど気にせず、ただしその重みを引き受けつつ、実現に向けて邁進すべし。
今週のキーワード
善悪を突き抜ける