かに座
言葉を大切にする
尾のない身として
今週のかに座は、「風鈴の尾を失ひて鳴らぬなり」(青柳志解樹)という句のごとし。あるいは、想いが溢れてもすぐに口を出すのではなく、あえて舌を慎んでいくような星回り。
風鈴の中の鉄片。つまり音を鳴らすための肝心かなめの部品のことを「舌」と言うのだそうです。そして、その舌から短冊をかけて風を受けていく部分を長い「尾」と考えたというのだから、むかしの人というのはつくづく優雅だなぁと思わずにはいられません。
猫にしても、孔雀にしても、尾というのは時に鳴き声以上に雄弁なもので、もし人間に尾があったならこうした和歌も俳句も生れていなかったかもしれない。風鈴が、尾を失えば歌わない風鈴となるように。
けれど、季節外れの音色にならないように、あえて尾を外しておくということも必要なのだという風にも考えられます。
今週のあなたもまた、ここぞという時にこそ音色が響くように、舌を慎み、おのれを整えることを優先していくといいでしょう。
発語の成熟
そういう意味では、今週は「言霊」ということについて真剣に考えてみるよい契機とも言えるかもしれません。
普段自分が口に出して言っている言葉だけでなく、PCやタブレットを開いたときになんとなく打ち込んで検索している言葉、LINEで最近よく使っているスタンプなど。
それらを改めて見直した上で、自らの存在価値をその上に置いていきたいと心から思えるような言葉を定めて、自覚的に口に出し、打ち、書いてみる。
それをここでは仮に「発語の成熟」と呼びたいと思います。
そうしたきちんと成熟した発語は、繰り返される度に人生という現実にしっかりと根を張っていき、やがて立派な大樹となってあなたを守ってくれます。できるだけ、等身大の自分に馴染む言葉を見つけてみてください。
今週のキーワード
等身大の言葉