かに座
訪れに敏感になっていく
待つことの奥深さ
今週のかに座は、「雪を待つ。駅でだれかを待つように。胸にくちばしうずめて鳥は」(岸原さや)という歌のごとし。あるいは、誰か何かの訪れを「待つ」という感覚を味わっていくような星回り。
翼の下にくちばしを埋めて、雪を待つ鳥。駅で誰かを待っている人、あるいはいつかの自分。マフラーに首筋を埋めて。
一首がどこか優しい印象を与えるのは、何かを待っているとき人間であれ動物であれ、生きものはその本能として自身の柔らかな部分に触れていくからでしょう。
何かを真剣に「待つ」ということは、その何かに触れた瞬間の質感や温もり、匂いなどを意識の空白を通して感じ直し、改めて自分のなかに何かを書き加えていく契機にほかなりません。
べたべたと密着するなんてみっともないことはしたくない、けれどかといって誰か何かからまるで他人事のようにすっかり心を離してしまえば元も子もない。
今週はそんなふうにして、誰か何かとの距離をはかりながら、改めて「待つ」ということの奥深さを思い知っていきましょう。
すでに何度も訪れている
「自動筆記」というものを知っているでしょうか?
チャネリングのひとつで、あたかも何か別の存在に憑依されて肉体を支配されているかのように、自分の意識とは無関係に何かを書き出していってしまう現象を言います。
が、霊媒だとか降霊実験など大げさな言い回しで表現しなくても、私たちは少なからずこうした自動筆記を日頃から体験しているのです。
そう、六感とか虫の知らせが誰にでもあるように、未来は誰の元にも頻繁に訪れている。それは聞き間違いや、なんとなく発した一言など、じつにさまざまな形で私たちの元に降りてくる。
ただそのことに気付くには、いわば「意識的無意識」という状態をどこまでキープできるかが問われます。開かれつつ、待っていること。そして捕まえた途端に表現に変えること。この一連の流れを、今週はどうか大切にされてみてください。
今週のキーワード
意識的無意識