かに座
シリウス信仰最前線
わけはわからぬが信じる、ということ
道を見失った時、人は古来より霊的導きを求めてシリウスを仰いできましたが、ちょうど今週のかに座は、新たな船出に際してこれから自分がたどるべき未知の航路をシリウスに照らして顕わにしようとしている旅人のよう。シリウスは夜空の星の中で最大の明るさを放つ恒星であり、その異様なほどの輝きは比類がありません。
つまり「航路をシリウスに照らす」とは、この場合、他の人との比較や、同時代の社会が提供してくれる物差しや枠組みからではなく、あの世からこの世を見つめる時のような唯一無二の眼差し方で、自分のこれからの人生の成り行きや、長期的な目標について再検討していくということ。
検討や意思決定の過程は合理的である必要はありません。
むしろ、わけはわからぬが、とにかくひとつ信じてみようじゃないか、というところから出発していく他ないのです。
いのちを俯瞰する
『もののけ姫』の冒頭で、エミシの少年アシタカが、村を襲った怪物を退治した際に受けた死の呪いを絶つため、はるか西に向けて旅立つ際、村をまとめる老巫女ヒイ様はアシタカに向かって次のように語りかけました。
大和との戦に敗れ、この地に潜んでから五百有余年。いまや大和の王の力は萎え、将軍共の牙も折れたと聞く。だが我が一族の地もまた衰えた。この時に、一族の長となるべき若者が西へ旅立つのは定めかもしれぬ。
シリウスが照らし出す航路や成り行きは、これくらいのタイムスパンであっても何らおかしくありません。
そして恐らく「なぜいまこのタイミングで、自分はこんな状況に置かれているのか?」という問いへの答えは、一人で決めて一人で処理してきた、と思い込んできたこれまでの幾つかの決定的な節目にも、そうと気が付かなかっただけで、目に見えないたくさんの力添えが働いていたのだ、と自然と思える地点まで生き永らえるまでは、決して出てこないでしょう。
だから今は、わけが分からなくてもいいんです。信じてしまいたくなる道をゆきましょう。冬空にシリウスを見つけましょう。
今週のキーワード
冬空に輝くシリウス、『もののけ姫』のアシタカとヒイ様、長期的な目標や成り行きの再検討、わけはわからぬがひとつ信じてみよう