かに座
たましいの形と影絵あそび
夕月と蝶
今週のかに座は、「夕月に七月の蝶のぼりけり」(原石鼎)という句のごとし。あるいは、自分なりの夢や理想を、見失わずに追い続けていくような星回り。
どこか凄味のある句です。
夏の夕暮れのうすむらさきに、白い月がかかっていて、そこに黒いシルエットのような蝶がふわりとのぼっていく。その一瞬に異次元へのトビラが開いて、こちらの魂を呑みこんだかと思ったら、またもとの日常に戻っているような、そんな不穏な想像さえ働いてしまいそうな非日常的光景。
子供の頃にはこうした唖然とする瞬間をひんぱんに経験していたような気もしますが、大人になってしまうとめったに経験することもなくなるのが、世の常というもの。
今週はある意味で、そんな失われた少年少女時代へと次元がつながっていくような星回りとなっています。そこであなたは童心に帰るとともに、今の自分に必要な夢や理想を改めて思い出していくことになるでしょう。
心の癖は幼年時代の形成される
凶悪事件の記録などを調べていると、加害者がまだ児童期のころに形成された心の癖が、大人になってからおかした犯罪と強く関連している事例は非常に多いことに気が付きます。
一方で、分かりやすい事例に限らず、多くの人間にも心の癖が存在していて、みな多かれ少なかれ歪んだり抑圧されたりしているのだ、ということも忘れてはいけない点でしょう。
裁判員裁判では、刑事裁判のように長文の鑑定書はなく、誰にでも分かる言葉で短くまとめられます。「子ども時代の不幸は、大人になったら自分の力で対処すべき」と考えている方が裁判員となることもあるでしょう。
しかし、歪んだ眼差しの交差は、真実を闇に追いやるのだということは、念頭に置いておく必要があります。
結局のところ、自らの心の真実は自分しか知ることができませんし、どんなに手助けを受けることができたとしても、最後のところでは自分の手で救うしかないのです。今週は自分の心にどこまで誠実に向き合っていけるか、ということも問われてきそうです。
今週のキーワード
遊びをせんとや生まれけむ