かに座
身に沁みる季節
秋の伝統的光景
今週のかに座は、『我庭の良夜の薄(すすき)湧く如し』(松本たかし)という句のごとし。あるいは、現在の境遇へと導いてくれたものとの感応を深めていくような星回り。
秋の透き通ったように明るいお月さまに照らされた「薄(すすき)」が「湧く如し」とは、それ自体で非常に美しい光景です。しかし掲句の肝は、それがどこぞの土手や道すがらの草原でもなく、他でもない「我が庭」であるという点に尽きるでしょう。
つまり、掲句では「薄湧く如し」とは単に視界に飛び込んできた景色の美しさを褒め称えている訳ではなく、様々な過去の困難を経ていま自分が居合わせている景色へいたることのできたしあわせを噛みしめているのです。
そして、それは決して自分の力だけによるものではなく、まるで地に撒いた種が無事に実るが如く、こちらの働きかけに応じてくれた生者や死者、地霊、神仏など諸々の働きかけのおかげであるということを、同時にひしひしと感じ取っているのではないでしょうか。
そうして人間の視線と月の視線とが、庭に湧いたススキを通して交わっていく。そういう特別な時と場所の記憶がここにひっそりと記されているんですね。
同様に、9月23日にかに座から数えて「心の支え」を意味する4番目のてんびん座に太陽が入座する(秋分)今週のあなたもまた、みずからに応じてくれた何ものかへの感謝の念を改めて胸に刻んでいくべし。
プエブロの今昔
プエブロとは、特にニューメキシコ州やアリゾナ州に残るインディアン部族の末裔のことで、現在その数は約3万5000人ほどと言われていますが、現代社会において長らく彼らは都市の徘徊者であり、しなびた知力のシンボルと言われていました。
そうした伝統との断絶や荒廃した期間を経て、しかし現在彼らはふたたび自然と調和する彼らなりの方法を確立し直すことで、平和で霊的な集団生活の見本となっています。
もちろん、だからと言ってここで「自然に還れ」とか、「個性を放棄しろ」などと言うつもりはありません。しかし、どうかこのタイミングで現代の彼らくらい健全でシビアな感覚を取り戻しておいてほしいのです。
つまり、日々どんなことを積み重ねるべきで、何をするべきではないのか。大抵の場合、不自然の発生する原因は、理の欠如にあるものですが、今のあなたが依拠すべき「理」は一体どこに求めるべきなのか。
自分の生活や暮らしぶりを改めて戒める基準を、改めてきちんと設定しておくこと。それが今週のかに座が行っていくべき“感謝のしるし”なのだと言えるでしょう。
かに座の今週のキーワード
トーテムポールを立てること