かに座
泥仕合的日常を受け入れる
異種混淆の宴
今週のかに座は、「他の生物との合体や遺伝子の交換を繰り返すようなごった煮」のごとし。あるいは、みずから泥仕合に足を突っ込んでいこうとするような星回り。
オリンピックという一大イベントを前に、新型コロナウイルスが今まさに、われわれ人間と改めて深くつながってこようとしています。
腸内細菌や皮膚の常在菌など、人間が他の生物から厳密には独立していない以上、このような侵入はある意味で不可避の出来事なのですが、生命学者の中屋敷学は『ウイルスは生きている』の中で、そうした遺伝子の「ごった煮」状態は生命の進化においても不可欠だったのだとした上で、次のようにも述べています。
「そこに他者と切り離した「自己」のような「純度」を求めるのは我々側の特殊性であり、生命に独立性を持ち得るものがあるとしたら、それは「我思う、故に我あり」とした我々の「観念」だけではないのかと思う。」
その意味で、もしかしたら私たち日本人は、人間側の確固不変の独立した自我を打ち崩した先に広がる新しいリアリティへと開かれていく先頭に立っているのかも知れません。
17日にかに座から数えて「現実の基盤」を意味する4番目のてんびん座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、リアリティの書き換えを行っていくには絶好のタイミングと言えるでしょう。
祭りは「祀り」
祭りというのは、元来あらかじめ何月何日何時に始まって何時に終わるということが決まっているような、“かっちりとした行事”ではありませんでした。
近代以降、どうしても共同体の外部に向けた宣伝や普及を含んだイベントとしての「祭礼」、すなわち「人に見せる」「華やかに見せる」ことが目的化したものとしての祭りが強調されるようになってきましたが、あくまで祭りというのは共同体の中での神や霊との一種のコミュニケーション(神事)であり、それは日々の日常と密接に結びついていて、日常の只中に神や霊がおりてきた瞬間にそこは非日常の神域となり、祭りが始まったのです。
同様に、神や霊とのコミュニケーションは、別に神社や神棚、お墓に行った時に開始されるとは限らず、むしろ何でもないような日常のワンシーンにおいて、不意に始まることだって大いにあるのです。
そういう意味では、今週のかに座はそうした不測の事態にいつ直面してもいいように、あらかじめ心の準備を整えたり、定期的に心身をリセットしておくことの大切さを改めて痛感していくことになるかも知れません。
かに座の今週のキーワード
日常の中の祭り