かに座
グルーヴ感のあるわがまま
思いがけない飛躍へ
今週のかに座は、「彼の世も小春日和か郵便局あるか」(池田澄子)という句のごとし。あるいは、誰かをせっつくようにして胸の内の思いを昂ぶらせていくような星回り。
冬の初めの、春を思わせるようなあたたかい気候を「小春」といい、そのやさしいぬくもりが特別感じられるとそれを「小春日和」と言いますが、それはまだ今一つ冬が来たという実感がわかず、なんとなく過ぎていく11月にふさわしい季語という気がします。
掲句では、そんなうららかなある日に、あちらの世界もこんな陽気なのかしら、という思いつきが、だったら手紙のひとつでもくれればいいのに、という故人への追慕へと飛躍しているさまがなんともユーモラス。
ここでの故人とは、おそらく作者の俳句の師である三橋敏雄でしょう。命日は12月1日。やがてくる冷たく厳しい本格的な冬の到来を予感しつつ、陽だまりのような日々に愛おしさを募らせているのです。
29日にかに座から数えて「遠くを見つめる目」を意味する9番目のうお座で約5カ月ぶりに海王星が順行へ戻っていく今週のあなたもまた、現実と実感のズレをグルーヴ感として享受して、思いがけない飛躍へと高めていきやすいでしょう。
感情の芽吹き
かに座にとって、今週はこれまで停止していた関係やほとんど忘れかけていた感情が突然動き出したり、みるみる間に種子から芽を伸ばしていくように進展していくことがあるかも知れません。そして、こうしたプロセスは少なからず人間関係にも影響してくるはず。
というのも、生命の本質は「ゆらぎ」にあり、鞘におさまった剣のような完璧な調和というのは長くは続かず、どちらかが必ずズレていく。これが芽生えにおける決定的なプロセスであり、種子から芽が生え土壌をつらぬき光のともとへと達したとき、この世界へと向いた生命のダイナミックな展開が始まっていくのです。
もしあなたがシングルなら、息を継ぎ一休みできる相手なら誰でもいいという心境にはもう居られなくなっていくはず。もっと自分の中の最高の満足を追求し、あるいは芽吹き始めた思いをより一層掻き立ててくれる相手でなければ、と。
こころをのびのびと解放していくと、いい意味で「わがまま」になっていきます。もっと自分はわがままになってもいいのだと、今週は自分に語りかけてあげるくらいでちょうどいいのかも知れません。
今週のキーワード
昂ぶりとゆらぎのままに