かに座
脱・畜群の道
誇りある友情
今週のかに座は、ニーチェの「星の友情」の喩えのごとし。すなわち、互いを尊敬しあえる限りにおいて絆を結んでいこうとするような星回り。
まず、2つの彗星が宇宙空間を並んで飛んでいるところを想像してみて下さい。2つの星は長い間どんなときも一緒に飛んできたし、ほとんど双子と言っても過言ではありませんでした。
ところが、あるときに大きな惑星のそばを通ってしまったために、重力のバランスに狂いが生じてしまい、2つの彗星はそれぞれ別の進路を飛ばなければならなくなってしまった。進路はどんどん離れていくし、もう二度とめぐり合うこともないかも知れない。
それでも、2つの星がそれっきり無関係になるかと言えば、それは違う。重力の法則や質量保存の法則など、同じ物理法則に則っているという点では、同じ秩序に従う者であり続けることができるし、その限りにおいて「同志」と呼ぶことが出来うるのだと。
つまり、互いの孤独を慰め合うのではなく、あくまで孤独なまま志を同じくしていく。そういう人間関係をニーチェは「星の友情」と呼んだのです。
16日(日)にかに座から数えて「自分への誇り」を意味する5番目のさそり座で下弦の月(意識の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、逆説的な意味での繋がりやそれによる励ましを受けとっていくことがテーマとなっていくでしょう。
決別こそ真の連帯
「花に嵐のたとえもあるさ さよならだけが人生さ」
これは井伏鱒二の詩ですが、例えばいきものがかりの「YELL」という曲にもそうした繋がりのあり方が印象的に描かれた箇所があります。
「サヨナラは悲しい言葉じゃない
それぞれの夢へと僕らを繋ぐYELL
いつかまためぐり逢うそのときまで
忘れはしない誇りよ 友よ 空へ」
これはある意味で先の「星の友情」の本質を見事に表現した歌詞であり、別れを告げることこそが私たちを繋ぐという関係の可能性を提示してくれているのだと言えるでしょう。
友を敬意をもって祝福することが、そのまま自分への励ましとなり、また誇りにもなるような。そんな道を今週のかに座もまた、選んで歩いていきたいところです。
今週のキーワード
さよならだけが人生さ