かに座
回る地球のように
自分が移り変わっていく
今週のかに座は、深夜、静かに呼吸している点滴のごとし。あるいは、ここまで自分の現実と線を引いていた領域が、闇夜に乗じてスッと広がっていくような星回り。
点滴スタンドが軋む音や鼻をつく病室の匂い、いつもとは異なるベッドの感触、窓の外でゆれる漆黒の葉陰……。
いつもの日常から飛んでそうした非日常的な状況を経験していく時、記憶の底に埋もれていた感覚や観念まで、不意に想い出されてきてはかき混ぜられて、現実認識がどこかしら別様に変わってしまうことがあります。
そして今のかに座のあなたには、特にその傾向が現われやすくなっているように思います。
あれは私自身の記憶、こっちはネットで知った情報、これは知り合いから聞いた体験談。
そんな風に普段は頭の中で整理されていた情報が、嵐の海のようにかき混ぜられ、区別を消していく。
独立した個人である以前に、人間も緩やかに結びいた集合体なのです。今週は否応なく誰かの記憶や影響が流れ込んできては、その非意識的な連帯にあなた自身も身を委ねていくようなところがあるでしょう。
理由などない
地球が自転していることに慣れきってしまった人は、つい自分のことを同じことを毎日繰り返している存在と思い込んで、地球が公転していることを忘れがちです。
ただしその一方で、私たちはある時、昨日と同じように朝を迎え、日が差してきたはずなのに、昨日とはまったくあたりの景色が変わっていることを、新鮮な驚きをもって発見することがある。
そういうことも、人類が切り離された個人としてではなく、どんなに嫌でもどこかで他者と繋がった存在である証拠と考えることもできます。
あるいは時として、何の落ち度もない相手に、特別な理由もなく冷めてしまったり、あるいはその逆の事態が起こったりすることがあるのも、同じ要因かも知れません。
とってつけた理由などなくても、唐突に誰かのことを好きになったり、嫌いになったり、世界観が変わってしまうことだってあり得るのだと、今では自分に許していきましょう。
今週のキーワード
ゆるやかに結びいた集合体