かに座
物語を前に進める
物の世界から事の世界へ
今週のかに座は、暁の水明かりにたちひらく蓮のごとし。あるいは、無意識の沼の中から咲き出てこようと、自分の中の何かがうごめき出していくような星回り。
生の裏に死があるように、死の裏に生がある。例えばそれは夜の闇がまだ溶けきらずに残っている朝方に、乱反射し始めた光を浴びて開きゆく蓮の花の姿であり、また今週のかに座の姿でもあるように思います。
新月が種まきのタイミングだとすれば、上弦の月は殻破りと根狩りのタイミング。
暗い土中でどこか殻に閉じこもっていた心が、危機感とともにいよいよ世界を切り開き、自分の足で太陽に向かって立ち上がっていこうと強い意志を発動させていくのです。
そしてそれは一定不変の「物」の世界(時間外存在)から、始まりと終わりがあり、絶えざる変化の最中にある「事」の世界へと躍り出ていくこと(時間内存在)でもあります。
早朝に咲いてお昼には花が閉じてしまう蓮のように、今週のあなたもまた終わることを恐れずに、いつかはやらねばと思っていたことを思いきって始めてみるといいでしょう。
玉手箱を開けてみよう
玉手箱といえば、浦島太郎が竜宮城からの帰りに乙姫から「絶対に開けるな」と言われ受けとった“あれ”です。
ダチョウ倶楽部にならうまでもなく、そんな前フリをされれば気になって仕方なくなって開けてしまうのが人間のサガというもの。
浦島太郎の場合、竜宮城では封じ込められていた“実際に重ねた年齢”が箱の中から出てきて一気に年を取ってしまいましたが、そんなふうに玉手箱は中に「誰もが気付かないフリをしてきた現実」が入っていて、必ずいつか誰かの手によって開けられる運命にあるのです。
それはとても怖いことですが、しかし、物語を結末に向けて帳尻を合わせていくためには、やはり必要不可欠なことなのです。その意味で、先の朝日を浴びて花を開いた蓮華というのも、玉手箱を開けていった人間のメタファーなのだと言えるかも知れませんね。
今週は特に、ふだんなら避けるような重い話だったり、なにげなく問いかけられた根本的な問いかけなどは、玉手箱を開けるきっかけへと繋がっていきやすいでしょう。
今週のキーワード
玉手箱も開けられる時を待っている