かに座
体温ある試みを
言葉にできないゆえの表現
今週のかに座は、「秋風に小洒落た変りチョッキかな」(山岸冬草)という句のごとし。あるいは、舞い降りたインスピレーションをとりあえず形にしていこうとするような星回り。
この句は助詞の「に」が効いていて、秋風が吹いていることと、変わったチョッキを着ることに、直接的な因果関係が特に見当たらないあたりが面白い。なにが「秋風に」だよ。ただなんとなく自分が着たくなっただけだろ! とツッコまずにはいられないというか。
でも、そう思う一方で、たしかに論理的には説明できないが、急に以前の自分とはまるきり違った振る舞いをしたくなったり、まったく別の顔をして道を歩きたくなることはある。
考えてみれば、「秋風」というの四季おりおりの風のなかでも、もっとも言語化の難しい風であり、そうして簡単に言葉にならないからこそ、間違っていてもいいという気持ちで、人は何かを不意に表現してしまうのかも知れない。
28日(月)にかに座から数えて「自己投機」や「冒険的試み」を意味する5番目のさそり座で新月を迎えていく今週は、思いついたことはとにかく片っ端から実行してみるくらいのつもりでちょうどいいでしょう。
ゴムボールのように!
人間であれば。骨の中には内臓が収まっていることになっている訳ですが、いったんそうした常識は脇にどけて、今あなたの骨の内側には、溌剌としていながらも傷つきやすい、ゴムボールのような感受性は転がっているか、ということを問うてみてほしい。
会社の売り上げに貢献し、家族を食わせ、税金も納め、新聞を読み、自己投資もしている。もしそれなのに、なぜか自分が腐りかけ、すえた臭いを放っているの気がするのなら、それは内臓がない。ゴムボールがない。やっていること、考えていることが、自分の腑に届いていない。
つまり、<わたし>という感情が凍えるほどに冷めきってしまっているからに他ならない。
その意味で今週は、どうか自分の内側に優しい温度を取り戻していく時間を大切に。そうして自分の中に、「うれしい、たのしい、かなしい」といった原色の感情を甦らせ、ほとばしらせていくこと。
内臓は、人間が備えている新鮮なインスピレーションの泉なのだから。
今週のキーワード
内臓をぶつける