かに座
魑魅魍魎あらわる
ぐちゃぐちゃ
今週のかに座は、「明日もまた会社があると思うならお手元の資料をご覧ください」(堀合昇平)という歌のごとし。あるいは、アブノーマルな思考を日常に接続していくような星回り。
歌の前半は、少なくとも朝礼や会議のような場では、決して口に出してはいけない言葉である。普段なら口にすることなく、自分のうちで収めておくべき一言が、ふいに口をついて出た恰好だが、それがいつも通りの何気ない一言に接続されたことで、じつにあぶない短歌となった。
調べてみると、作者は実際にコンピューターメーカーの営業職についており、そうなるといよいよ妄想と現実が錯綜していく。
7月3日にかに座で新月が起こり、さらに4日には金星もかに座入りしていく今週は、まさにかに座の本領たる妄想力がいつも以上に勢いを増していくタイミングと言えます。
それは普段なら建て前と本音をきちんとわけおくような分別をあえて踏み越え、攪乱していこうとするアブノーマルな発想の跳梁跋扈を意味し、あなたはそこで水を得た魚のように味気ない線引きを滅茶苦茶にしていこうとするかも知れません。
しかし、それでいいのです。新月はひとつのサイクルの完結であり、新たなサイクルの始まり。かに座の人たちというのは、そうして一旦ぐちゃぐちゃになった方が、心機一転していけるのですから。
残酷さを取り戻す
もう何年ものあいだ、石ころ一つ蹴っ飛ばしたことのない小市民的な現代人は、例えばあの頭蓋骨大のボールを相手のホームめがけて押しこんでやろうと、みんなして駆けだしていく戦士たちの姿を見ても、何も思い出さないかも知れません。
ただ、人間の祈りや、情愛を細やかに表現する手の使用を禁止されたサッカーの世界では、戦士たちに与えられる選択肢は、ほんらい次の二つ。勝つためのルーティンをみずから創り出していくか、でなければ、マンネリ化して立ち往生するか(思考や行動・表現などが型にはまって変化がなく、独創性や新鮮さに欠けていく)のどちらかしかないのです。
美しさの裏には、必ずどこかに冷徹なまでの残酷さが隠れている。今週は改めてそんなことを思い出しつつ、なまりきった刃を入念に研いでいくといいでしょう。
今週のキーワード
躊躇はいらない