かに座
生き延びるための共同性
座を組んで対抗する
今週のかに座は、結社の一員となることで、既存の秩序や権力に対抗していこうとするような星回り。すなわち、個性をかたどる輪郭線を薄くして、主語を、声を、大きくしていくこと。
「結社」という言葉を口にすると、悪の秘密結社のようなイメージをすぐに思い浮かべる人も多いと思いますが、あれはヨーロッパのせいでついたイメージで、例えば俳句結社の原型は中世の「座」にあります。
中世には、各神社に必ず座というものが作られ、お祭りなんかはもっぱら座がやりました。それから商売にも座が作られ、各個人が自由で平等な個として、そこでは世俗的な条件が取っ払われた訳です。
つまり、結社というのは秩序を作っている意識から離脱して、自分の生存条件を限りなく自然に近づけて世間の中央にあるものに対抗していくための場であり、俳句をつくった人たちというのも、そうした結社に身を置きつつ自然の声を韻律にのせて詩を作ることで、権力や秩序に対抗してきたんです。
2人でも3人でもいい。とりあえず名前を付けてみるのでもいい。自分が生きやすい世界を作り出すために、小さく力の弱い個人から脱し、座を組んでいくことで、少しでも自分の主語を大きくしていきましょう。
食べると交わる
結社では、既存の秩序や権力に取り込まれないための工夫として、自然のエネルギーを取り込むために自分たちに縁のある生物や自然を名前に取り込みました。
ただ、私たちは動物を愛玩の対象や子供のちょうどいい遊び友達とは認識すれど、どこかで自分たちとは断絶した、異質な存在として見なす時代を生きています。
しかし時代を少し遡れば、狩猟採集を生きるための主な手段としていた時代において、ある特定の動物や植物(トーテム)を、子供たちならず自分たち種族全体の守護神、そして祖先として信仰していたことをここで思い出されたい。
そこには自分が生きるために、互いのいのちを殺し、喰い、交わっていた原初の連帯があり、自然な、したがって無尽蔵の連続性や一体感がありました。
そうした世界では、食べることひとつとってみても、「自分は何と一体になりたいのか?」という問いかけであり、それへの応答であり、祈りであったのです。
今週は身体の声によく耳を澄ませて、おのれが欲するものを愚直に求めていきましょう。
今週のキーワード
トーテムを定める