かに座
血が騒ぐ
うねりと一体になっていく
今週のかに座は、「台風や四股いきいきと雨合羽」(草間時彦)という句のごとし。あるいは、本能的なうねりへと自らをパッと明け渡していくような星回り。
台風がくると、たいていは家でジッとしているように言われるし、その通りにするのが大人というもの。しかし、子どもの頃は逆に台風がきたときほど血が騒ぐことはなかった。
雨合羽を着込んで外へ飛び出し、台風に負けじと一本道を全速力でダッシュしたりしていると、日頃よりも自分が敏捷で活気があり、いきいきとしているように感じられてきたものだ。
それは一種の無邪気な興奮状態とも言えるが、そうやって「四股いきいき」としてこないと、なかなか人間の本性というものも見えてこないというのも考えてみれば皮肉な話だ。
あの頃と比べれば、最近のあなたの四股はずいぶんと縮こまってきているのではないだろうか?
今週は、「猛威に立ち向かう」とかそうしたある種お行儀のいい発想から離れて、自分自身こそが猛威となって四股を伸び広げていきましょう。
無限の身体と有限の身体
まだ自他の区別のない子供は、いわば「無限の身体」を持っています。
風の子となって空を飛んだり、ゴジラと一体となって大暴れしたり、絵本の中の登場人物の中にスーッと入りこんだりすることができる。
ただし、つねに何か新しいものへと反応し、いちいち注意のほこ先がてんでバラバラなところへ向かうため(赤ちゃんの「新奇選考」)、そのままでは極めて不安定かつ個体として統合ができていない状態とも言えるのです。
それが次第に、自分と環境との境界がはっきりしてきて、存在の輪郭が定まってくると、「身体の有限性」に気付くようになってくる。つまりそこに初めて、「自我の芽生え」が起き、やがて身体は固まりどんどん重くなっていくわけです。
今週のあなたは、どこかでそんな自我の芽生え以前の、「無限の身体性」を取り戻していこうとしているのかもしれませんね。
今週のキーワード
四股いきいき