おひつじ座
たゆたう
ふわりと広がる白い筋
今週のおひつじ座は、「冷麦を水に放つや広がれる」(篠原温亭)という句のごとし。あるいは、人生の選択肢をふわりと広げていくような星回り。
この句、ゆでた冷麦(ひやむぎ)を冷水にとるところ。いくすじもの白い筋が、ふわりと水に広がっていくさまは見ているだけでも心地いい。夏の料理は食感や色どりのほかにも、名前の語感も大事になってくる。
「うどん」は、文字で見ても声に出して読んでみてもあたたかくて弾力感があるが、「そうめん」や「ひやむぎ」は涼しそうだし、ほっとひと息つける感じがする。
同様に、おひつじ座のあなたの運気の流れも、やはり後者に近い。お腹に力を入れて自分を力強く結集させていくというより、たかぶった精神の熱をすっと放散させて、ふわりと柔らかくなっていこうとしているのではないか。
あるいは、選択肢を減らす決断的な左脳の働きではなく、選択肢を増やす逡巡的な右脳の働きを取り入れていこうとしているのだとも言えるかもしれないですね。
胎児の安心感
老子の道徳経・第十章にはこうあります。
「迷える魂を落ち着かせ、統一を保って、そこから離れないようにできるか。
息をこらし、心を開いて嬰児のようにできるか。
神秘めいた幻想をぬぐい去って、一点のくもりもないようにできるか。」
いたずらに我を主張せず、かといってもたれかからず。
このようなバランス感覚は、どんな状況にあれど事態の克服と豊かさの感受を保証してくれます。
ですがそれは、おひつじ座の人たちがときおりうお座の子宮にかえって、むかし感じていた安心感を思い出そうとしているようなものなのかもしれない。
あるいは、人や物事を自分の手でコントロールしようとするよりも、状況に流され誰かの手玉に取られるくらいの感じでいる方が吉と出る。そんな時とも言える今週です。
今週のキーワード
輪郭が溶けていく