おひつじ座
幼年期の終わり
使者到来
今週のおひつじ座は、違う星からやってきた「異星人」とカタコトでちぐはぐな会話を試みていくような星回り。価値観や文化的背景もまったく異なる相手を前にしたとき、生意気で見当違いな批評に終始してしまうか、古臭い常識や自身の固定観念を打ち破る知的な挑戦に取り組んでいくのか、あなたはその「身振り」を問われていくでしょう(異星人の存在には以前から薄々気付いていたでしょうけれど)。
これは、決定的な対話の機会に、どこかで暗記してきたことを機械的に繰り返すのか、心の奥底から紡いだ自分の言葉で臨むのか、選択を迫られるという状況に置き換えることもできます。
うまくいけば、目が覚めるような、鋭く冴えた興奮に貫かれていくかも知れません。「異星人」は潜在的な蔑みや嫌悪の対象であると同時に、不思議と親しみを感じる新たな現実からの使者でもあるのです。
滅びの美学かむなしさか
「異星人」は小説や映画の中で、時に地球人が思い描いてきたハリボテの現実を容赦なく壊してきました。
例えばアーサー・C・クラークの『幼年期の終わり』では
あるとき、ニューヨークの上空に巨大な銀色の円盤が現れ、円盤の総督らしき人物が人工音声を通じて演説を行います。演説を聞き終わった人類は、自分たちが全知力を結集してひねり出すものより、頭上の知的円盤のそれの方が圧倒的に上であることを本能的に悟ります。当然、国によってはミサイルを打ち込んだり、知的円盤の話に耳を貸さなかった地域もありましたが、円盤はびくともせず、またその地域の頭上からは太陽が消され、そうしたことをきっかけに人類は無力感に包み込まれ、以後本質的な変化を遂げていきます。
それと同様に、おひつじ座の人には、時々、自分がひどくちっぽけな存在に思えてくる瞬間が訪れるのですが、それが下り坂に置かれたような「むなしさ」となるか、上り坂を駆けあがってゆく「滅びの美学」となるかは、本人次第と言えるでしょう。
今週のキーワード
異星人=新たな現実からの使者との遭遇、アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』、シニカルな批評か熱のこもった挑戦かを選ぶ、滅びの美学に希望を見出す