おひつじ座
呪いをただの欠点にしていくこと
生きにくくて悩むくらいでちょうどいい
今週のおひつじ座は、「九勝六敗を狙う」という色川武大の言葉のごとし。あるいは、答えのない問いへの答えを考えていく上でのヒントを自分の中から引きだしていこうとするような星回り。
子供の頃から頭が絶壁だったというだけで劣等感に苛まれ、集団生活になじめずに学校を無期停学になったり、家に帰らず路上で寝泊まりしたりしているうちに裏社会で生きるギャンブラーとなった色川が、そのジェットコースターのような日々の中を通して培ったセオリーこそ「九勝六敗を狙う」ということでした。
それは決して、ほどほどに勝てばいいということではなく、ギャンブルにおいても人生においても全勝なんて無理なんだから、どこで勝つのかということと同じくらい、どこで負けるかということを意識しておかなくてはならず、その上でいかに勝ち越すことができるかという理論だったのです。そして、その際に最も重要なのが自己の欠点の扱いなのだと。
ひとつ、どこか、生きるうえで不便な、生きにくいという部分を守り育てていく。欠点も生かしていくんだ。生きにくくて悩むくらいでちょうどいい。欠点はまた裏を返せば武器にもなる。ただし、その欠点をきちんと自分でつかんで飼っていかないとね(『うらおもて人生録』)
自分が日の当たる表舞台を生きてきたという意識が強い人ほど、ちょっとした汚点や黒歴史が許せず、どうしようもない欠点や怒りさえもなかったことにしようとして、かえって生きづらさをこじらせてしまうものですが、それは色川の感覚で言えば、欠点にろくなしつけもせずに放し飼いにして、人に噛みつくよう仕向けているのと一緒なのだと言えます。
1月7日に自分自身の星座であるおひつじ座で上弦の月(行動の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、ここで改めて自分の欠点だったりどうしようもない部分を自覚し、それを守り育てていきたいところです。
催眠の解除
かつて寺山修司が指摘していたように、子守歌というのは基本的にうそ八百であり、テレビアニメにもなった『日本昔話』のオープニングで「坊や~良い子だ、ねんねしな~♪」と歌われてるのを改めて聞き返せば、例えば三匹の子豚を襲ったオオカミがまったく同じようなセリフを吐いていたことに気が付くのではないでしょうか。
オオカミは催眠術的な言葉遣いでたくみに子豚たちを油断させていった訳ですが、すべての親というのは機を見て「子どもを自分のものにしてしまおう」と考えているように思います。それは子どもを自分の言いなりにさせたいという親のエゴイズムであり、地方によってさまざまに異なって伝えられてきた子守歌のバリエーションは、そのまま子を無力化してしまおうという催眠の言葉のバリエーションでもあったのではないでしょうか。
親というのは眠る子の顔に向かって半ば無自覚的に催眠術をかけるものであり、そこで脳裏に刻まれたプログラムは、しばしば子がその生涯をかけて対峙し、克服していかねばならない親世代のあいだで共有されていた古い価値観や常識に他ならないのです。
その意味で、今週はおひつじ座にとって、自身がかかってきた催眠術からの脱却を試みていくにはもってこいのタイミングと言えるかも知れません。
おひつじ座の今週のキーワード
うつし世は夢、夜の夢こそまこと