おひつじ座
若きことをやめず
影と持ち主のいたちごっこ
今週のおひつじ座は、『鮎は影と走りて若きことやめず』(鎌倉佐弓)という句のごとし。あるいは、新たな動き、予想外の動きをみずから作りだしていこうとするような星回り。
夏の川魚の代表である「鮎」は、川の流れのゆるかったり濁っているようなところでも釣れる鮒(ふな)とは違い、水の透明な上流域で素早く動いており、掲句ではその様子をが「影と一緒に走っている」とじつに“いきいき”と表現されている。
そして単なる客観写生に終わらせず、さらに「若きことをやめず」と畳みかけることで、余韻とともに読者に委ねられた解釈の余地がじわりと広がっていく。確かに、人間においても「若さ」というのは、美容品や服装などでごまかすことのできない影に最もよく現われてくるのかも知れない。
例えば、いかにも“とぼとぼ”“よろよろ”と歩いているような影であれば、その持ち主はもはや影に呑み込まれているも同然だろう。鮎は「年魚」と呼ばれるように、その一生は一年と短い。だからこそ、影でさえ追いつくのがやっとというくらい、いつも“きびきび”と動き続けており、その分だけ若さが鮮やかなのだ。
また、鮎と影の重なりあいは、単独ではなくそこに複数の鮎がいる可能性をも暗示している。気楽な「ひとり」に逃げ込むのではなく、時には誰かと連れ立ったり、自分から誘ってみたり、誰かに声をかけられるだけの隙をつくっておけるのも、やはり「若さ」の証しではないか。
6月18日におひつじ座から数えて「遊び」を意味する3番目のふたご座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、“とぼとぼ”や“よろよろ”とするのでなく、“いきいき”や“きびきび”とした動きを体現できるよう心がけていくべし。
力の抜けた強さかな
ではどうすれば、影にのまれることなく、動きに躍動感をもたらしていけるのでしょうか。それは簡単に言えば、「どうなるか分からないけれど、それでもやってみる」ということをどれだけ実践していけるかにかかっているのだと言えるかもしれません。
例えば、自分の行為が相手にどんな結果をもたらすか、そして自分にどんなリターンをもたらすか、まったく読めない状況に直面したときというのは、得てして余裕がありません。つまり、先回りして結果を予測したり回避することが普段よりできない訳です。
しかし、それでも誰かに声をかけたり、介入したり、手を出したりしたいという気持ちが少しでも湧いたのなら、それはその分だけあなたがその誰かのことを信じていて、仮に想定外の結果やリターンが相手からもたらされたとしても、受け入れる準備ができているのではないでしょうか。
そして、それができるだけの強さを、おそらくあなたはもう十分に持っているはず。なおこの場合の強さとは、単に生き延びるのに有利な条件をたくさん持っているということ以上に、いくつもの重なり合った面をときに矛盾を抱えつつも生きていくことができるということ。今週のおひつじ座は、そんなどこか力の抜けた強さを具体的な文脈でいかに発揮できるかが問われていきそうです。
おひつじ座の今週のキーワード
影と一緒に走るということ