おひつじ座
仕事の基準に変更を迫る
お金の使い方の見直し
今週のおひつじ座は、貨幣経済の「エコロジカルな転換」のごとし。あるいは、できるだけ長期的に価値が維持されるようなものにお金を投入していこうとするような星回り。
ゲーテの『ファウスト』を経済学的に解釈したビンズヴァンガーは、かつて「99%の人びとがお金の問題を見ようともしない。科学もこれを見ようとしない。経済理論もそうだし、「存在しないもの」として定義しようとさえする。われわれが貨幣経済を問題としないかぎり、われわれの社会の、いかなるエコロジカルな転換の見通しも存在しないのだ」と述べていましたが、実際に私たちは人生を通してお金に呆れかえるほどに振り回されながらも、じつはお金そのものについてほとんど考えていないのかも知れません。
確かにお金の登場によって人類の物々交換の困難は解決されましたが、現代社会ではお金は人びとにますます競争を強い、勝ち負けをはっきりさせ、そして、もっている者には有利で、ない者には不利なものになっています。つまり、他の誰かの不幸が自分の幸福となり、それにまつわる不安で回っているのがお金というシステムの現状なのだということ。
しかし、改めて豊かさとは何かを問うてみるならば、豊かさとは必要なものが必要な時に、必要な場所で手に入り、必要に応じて使うことができるということであり、いくら通帳に数字があったとしても、「必要」を長期的に感じるだけの見通しや、他者との信頼関係によって持つことのできる確かな希望がなければ、決して豊かであるとは言えないはずです。
その意味で、5月5日におひつじ座から数えて「豊かさ」を意味する2番目のおうし座で「覚醒」の天王星と「主体性」の太陽が重なっていく今週のあなたもまた、みずからを真に豊かにしてくれるモノやコトとは何なのか、改めて問い直してみるといいでしょう。
「ハイパースティション(hypersutition)」としての未来像
「ハイパースティション」とは、「スーパースティション(迷信)」を元にして近年主にポスト資本主義を構想する一群の人たちによって使われ始めた造語であり、それ自体はフィクションの一種でありながらも、真理へと自身を変容させることを目論んでいる生きた触媒のごとき夢想を意味します。
例えば、「働かざる者食うべからず」といった労働倫理は、労働市場で優位に立つことができず、経済に寄与する力が少ないかほとんどない者たちを、価値がなしと見るに留まらず金食い虫として社会から切り捨てたり、ただでものを手に入れたと見なされる人々へサディスティックな処罰を下すことさえ肯定しかねないという点で、今やこれ以上無視することができなくなりつつある社会の歪みの根底にあるものと言えます。
その意味で今週のおひつじ座は、個人的な‟キャリアプラン”を超えたところで未来に撒いていくべき種子をどれだけ実感を込めて想像していけるかが問われていくことになるはず。
どうしたら労働者にクソ仕事を蔓延させつつ、その上がりをますます還元しなくなってきた資本主義社会から自分たちの未来を取り戻せるか。伝統的な要求である正規雇用や終身雇用とはまったく逆のベクトルで、すなわち、労働の外部において意味のある生を想像していくことができるか。大いに考え、あるいは議論し、想像を広げていきたいところです。
おひつじ座の今週のキーワード
労働の外部に広がる長期的な必要