おひつじ座
自分をケアするということ
こちらは6月14日週の占いです。6月21日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
魂への気遣い
今週のおひつじ座は、「蛍狩夕餉つめたきもの食べて」(大石悦子)という句のごとし。あるいは、効率や習慣よりもデリケートな感覚を優先していくような星回り。
句意としては、蛍狩りに行く際の夕餉(ゆうげ)は、温かいものではなく冷たいものを食べて、といったところ。
出かける前は忙しいですから、そうめんなんかの簡単なもので済ませたくなるのかな、などと、一見するとなんてことはない内容にも思えますが、むろんそうではありません。
蛍というのは、その年に亡くなった人の数と同じだけ発生すると昔から伝えられていて、夏のひと時だけ会うことができるのが蛍狩りなのだということに思い至ると、なかなか繊細なところに触れていることが分かるはず。
水辺の闇を明滅しながら飛び交う青白い蛍の光に、亡き人の思いを託すのなら、自分たちのからだも死者たちにならって少しでも冷たくしておきたい。それがいかに非合理なものであったとしても、亡き人が近しい相手であればあるほど、そう思いたいくなるのが人情であり、人間的な営みと言えるのではないでしょうか。
18日におひつじ座から数えて「ケア」を意味する6番目のおとめ座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、心から大切にしていきたいものには、できる限りの丁寧さで接していきたいところです。
異界を作りだす
最近はあらゆることがマーケティング的に語られ、誰も彼もがポジション・トークに徹しているようなディストピアへ、社会全体が一丸となってますます突き進んでいるように感じます。
一方で、そうした流れに反するために文化や教育というものがあるとして、もしそこで魂ということを前提に置くのなら、まず第一に「ここではない異界」を作りだすことを大事にしなければならないのではないか。そんな風に思います。
例えば、夜中に道で不意に出くわすノラ猫は、それは見事に異界を作りだします。社会の大人達からすれば、何でもないような意味の空白地帯である公園の一角に、猫がたたずむ。すると、6月の夜風はもう静まって、猫は柔らかい機械の振動へと変わり、いよいよ空気を震わせて、一瞬の内に月光を冴え冴えとしたブルーに様変わりさせてしまう。
そうした光景を垣間見たときの、「とんでもないものを見てしまった」という驚きこそが、魂をことほぐ最高の贈り物であり、それを感じ取っていくだけの余地や余白を生活や身体に作っていくことこそが、魂に対する敬意の払い方なのではないでしょうか。
まずは今あなたの中に、月の光がそっと差し込んでくるだけの余地や余白が十分にあるかどうかから確認してみるといいでしょう。
おひつじ座の今週のキーワード
闇のなかを飛び交う青白い蛍、夜の公園にたたずむノラ猫