おひつじ座
強さを弁える
フック船長の人間力
今週のおひつじ座は、児童小説『ピーター・パン』に出てくるフック船長のごとし。あるいは、不利やハンデを自分の強味に変えていこうとするような星回り。
6月28日におひつじ座の守護星である火星が、自分自身のサインであるおひつじ座へと移り、ついにやぎ座の大惑星たちと長期的な緊張関係へ入っていきますが、これはどこか身体の一部を失いつつも戦いに臨んでいかねばならない状況に似ています。
手を切り落とされるなんて考えただけでも恐ろしいことですが、大人も楽しめる児童小説であるJ・M・バリの『ピーター・パン』に出てくるフック船長を見ていると、必ずしも不利だと言い切れないように思えてきます。
彼は鉄の鉤爪など、思いきり派手な義手をつけることで、失った手をむしろ“売り”にして堂々としています。確かに、彼はワニが怖くて仕方ないし、血を見るのも苦手になって、ケガをする以前より複雑な性格になってしまいましたが、代わりに唯一無二の個性を手に入れていきました。
とことん落ち込み、現実逃避にかまけていてもおかしくないところを、彼は見事な仕方で強みに変えて、人前に出ていった訳です。その意味で、人間味あふれるフック船長こそ、今のおひつじ座の人たちの指針となっていくでしょう。
願望ではなく自覚を
「そう在れるのは、
そう在りたいではなく、
そう在ると思う者。
願望はどこまでも願望でしかなく、
魂の自覚とは別の回路。」
(橋龍吾『自信』)
「まなぶ(学ぶ)」という言葉は、「まねる(真似る)」と同じ語源であり、「まねぶ」とも言われていたのだそうです。そのことからも分かるように、自分が真似したいと思う人のやり方を「まねぶ」ことから始めるのは、学びの基本。
ただ、これは逆に言えば、どれだけ知識が頭に入ろうと、本質的に自分が「そう在る」と思えないような状態からは、何ひとつ学ぶことはできないということでもあります。
フック船長であれ何であれ、これはと思った対象とと向き合う時には、ぜひ願望ではなく自覚を。これは今週の合言葉と言っていいでしょう。
今週のキーワード
まねぶ