おひつじ座
よみがえる古代人
人と樹が当たり前に交歓する世界
今週のおひつじ座は、「よろこべばしきりに落つる木の実かな」(富安風生)という句のごとし。すなわち、古代的なものがさっと心に通り過ぎていくような星回り。
4つのK音がバランスよく散らばっているため、軽やかで何度か繰り返し口ずさみたくなる句ですが、作中主体がなぜ喜んでいるのかという点については一見、謎です。
おそらくは、何かの拍子にたまたま木の実が落ちてきたのを見たのでしょう。偶然、手に入った木の実について喜んでいると、さらに別の木の実がぽろぽろと落ちてきたという訳です。
つまり、ここでは人と樹が互いに通じ合っているということであり、これは童話の世界のお話というより、古代的な感性がふとした瞬間に我が身へ現われた体験を詠んだものと思いたい。
14日(月)早朝におひつじ座で迎える満月に向けて、月がまんまるに太っていく今週のあなたもまた、どこかでそうした近代人が当たり前に引いてしまっている‟常識”という名の限界をなんとはなしに突破していくきっかけを掴んでいくことができるはずです。
自分にとっての最高の享楽とは何か?
そもそも、木の実を手に入れて喜ぶことのできる大人は今の時代にどれだけいるだろう。
あるいは、本当の意味で豊かであるということは、今の時代にはいったい何を意味するのだろう。今週はそんな問いが、自然と浮かんできやすい星回りとも言えるかもしれない。
とはいえ、それは深刻な自問自答に陥っていくというより、あえていったん徹底的に「享楽」の追求を図っていくことがテーマになりやすいのだ。 仕事のための読書や勉強も、まずは時間を忘れて楽しむことができなければ本当の意味で身につくことはないはず。
とはいえ、自分ひとりだけでそれを行うには限界があるので、今週はできるだけ誰かの手を借りたり、友人に思い切って自分の率直な‟感じ”をぶつけてフィードバックをもらったりといった機会を持って行くといいだろう。
視野を広げ、他者に開かれつつ、少しずつでも「享楽」が深まっていく感じを掴んでいけるかどうか。
あるいは、人としての本質的な問いを設定していくなかで、自らの生き方や人間関係を振り返っていけるかどうか。今週はきっと、そういった根本の部分に光が差し込んでくるだろう。
今週のキーワード
自分の中にいる古代人に焦点を合わせる