おひつじ座
半身としての環境
「私とは、私の環境である。」
今週のおひつじ座は、オルテガの環境論のごとし。あるいは、自分ひとりで奮闘しようとするのではなく、周囲の他人や環境を上手に使いながら呼吸を整えていこうとするような星回り。
新たなアイデンティティーの浮上に際し、おひつじ座の人というのはどうも自分ひとりで問題を抱え込むため、どうにも危なっかしく感じられるところがあるのですが、今週のあなたのテーマは、「どうしたらもっとリラックスして自分の中の強張りやわだかまりを溶いていけるか」というところにありそうです。
その意味で、例えばグーグルが、職場内のドリンクバーや食堂内のサラダバーの位置の変化によるカロリー摂取や体重の増減などに関する実験を何度も繰り返しているように、「環境」が私たちに及ぼす影響力はまことに甚大であり、あなたもまた自分が「環境」に弱い生き物であることを認めていくところからスタートするのがちょうどいいでしょう。
今週はまず「私とは、私の環境である。私がもし私の環境を救わなければ、私自身は救われないことになる」(『ドン・キホーテをめぐる省察』)というオルテガの言葉をよく胸に刻んだ上で、遠い彼方の何かのために戦うことに熱中するあまり、通りすがりに蕗の薹や春の気配を踏み潰してしまうことのないよう、周囲の環境へ改めて目を開いていくことを心がけたし。
水と友達になること
働く人の日常は、どこか長距離自由形の水泳競技にも似ています。
ルール上は思い思いの泳ぎ方が許されているはずなのに、気付けば周囲はみんなスピードの出るクロールばかり。そんな中で、少しでもラクな息継ぎを模索し、体力を無駄に消耗させずに長く泳ぐコツを身につけつつ、ひたすら前進を続けていく。
しかし長い距離を泳いでいると、どうしてもフォームは崩れ、無駄な動きが増えていき、やがて息継ぎのポイントもずれたり、ターンが決まらなくなったりと、何かしら思いがけないアクシデントが起きてくるもの。
そういう意味で今週は、レースの途中で今いったん自分が泳いでいるプールの水を感じて、水と友達になって、助けてもらうべく、意識をたゆたわせていくようなつもりでいるといいかもしれません。
特に、最近なんとなくダルいなとか、パッとしない、ついてないと感じている人にとって、途中で満月をはさんでいく今週は、自身の不運体質を引き締め直すのにはちょうどいいタイミングとなるはず。
今週のキーワード
中沢新一『アースダイバー』