おひつじ座
自らを地図にプロットする
歌の名手の心得
今週のおひつじ座は、「春の日の光にあたる我なれどかしらの雪となるぞわびしき」(文屋康秀)という歌のごとし。あるいは、新しい世界の中で自分自身を見失わずにいるための限界や制約を改めて学んでいくような星回り。
作者は平安時代の官僚で、ある年の正月に宮中に召されて控えていたところ、雪が降って頭の上にのったところ、それを歌に詠むよう望まれて詠んだとされている一句。
この場合、「春の光」は御前に侍る光栄とかけているのでしょう。そんな華々しく、浮足立つような場面にありながら、頭の雪、つまり白髪をはやしている自分がわびしい限りだと歌っているのですね。
こうしたまったく予期していなかった場面や展開に直面したとき、果たしてどれだけの人がこれほど見事に配慮の行き届いた歌が詠めるものかと、思わず感心してしまいます。
大抵の人は一言も発することができず地蔵のように固まってしまうか、自分の置かれている状況への適切な認識を失って、力加減を誤ってやりすぎてしまうかのどちらかでしょう。
即興で詠むものだった歌の名手というのは、得てして自分を落ち着かせるだけの型を持っていたり、そのときどきに必要な抑制の見極めができる人だったのかもしれません。
今週のあなたもまた、いま参入しつつある新しい世界でのルールだったり、身の振り方ということを落ち着いて見極めていくことを心がけてみるといいでしょう。
マストにのぼって
今おひつじ座のあなたは、これまで見えていなかった景色が徐々に開けつつあり、それにつれて自分が広大な海の中のどこにいて、どんな役割を担っているのかを早急に認識しなおす必要に駆られてきているように見えます。
と、このように書いている私=筆者は、あたかもあなたの運勢をリアルに俯瞰できているかのように思われるかもしれませんが、実際には過去の事例や記録の積み重ねを元に、事態を推測して書いているだけ。
つまり、この占いはあくまでアバウトな事態の予測であり、いわば過去に作られた海図のリプリント版に過ぎない訳で、あなたが実際に生きる現実の把握は、最後は自分で為されなければなりません。
おそらく、歌の名手の抑制や見極めというのも、こうした海図作成の経験に由来するものでしょう。
今週はまるで上空から自分を見つめるように、自らの立っている場所を位置づけ直し、自らの手で古い海図を書き換えていきたいところ。
今週のキーワード
春の光を頭上に感じる