おひつじ座
運に運ばれるために
蝶の飛行訓練
今週のおひつじ座は、裏表で羽の模様の異なる蝶のごとし。あるいは、2つの名を自在に操り、この世を渡りきっていこうとするような星回り。
蝶というのはつくづく不思議な生きものだなと思います。
ギリシャ語で「プシュケー」と言えば「魂」のことを指すと同時に「蝶」のことでもあることはよく知られていますが、古代ギリシア以前のミケーネ文明の遺物からは「太母」をあらわす蝶のモチーフが発見されていたり、日本では水商売の女性のことを「夜の蝶」と呼んだりもする。
つまり、心とか魂とかそうした異なる表象を一身に背負ってひらひらと飛んでいるようなところがある。けれど、そのうちのどれか1つだけが蝶の実体で、他はそうでないかと言うと、どうもそういう訳ではないように感じられる。
自身の二重性、いや多重性をよく分かった上で、そこに在るような気さえしてくる。
実際、ちょうど蝶の羽模様が裏表で異なるように、一見別々のもののように見えるものも同じ存在の異なる側面に過ぎなかったということは、そう珍しいことではないはずです。
立春を迎えていく今週のあなたにおいても、これまでそれぞれの文脈で異なる顔をしていた自分自身同士のあいだで、思いがけない一致や協働が生まれていきやすいでしょう。
それをひとつの必然として利用し、蝶のごとく春の野辺を気持ちよく飛んでいけるかどうか。今週はある種の飛行訓練のような趣きが出てくるかもしれません。
限界と解放
どれだけ資質に恵まれ努力を重ねたとしても、望んだ結果が得られるかどうかは分かりませんし、最後は運を天に任せるしかありません。
では何のために人は努力するのか。それは自分の限界を知るため。限界を知ることで、人は自らのDNAにスイッチを入れることができ、同時に、人生の重荷から解き放たれるような安堵感を覚えることもあります。
自分ひとりで頑張れることなんてたかが知れていますが、それは逆に言えば、何か大きなことを成し遂げようと思ったら、周囲や大切な人との交わりによって「運に運ばれる」ことが大切ということです。
ある意味で、今週は自分をすーっと運んでくれるような文脈は何なのか。そしてそれはどのような縁や結びつきによって成立するのか。ということを再認識していく時と言えるのかもしれません。
今週のキーワード
雲は自分を重荷に感じない