おひつじ座
ここは解放区
自由の感触
今週のおひつじ座は「君はセカイの外に帰省し無色の街」(福本若之)という句のごとし。あるいは、ひとつの終わりを受け入れて、残りの人生の最初の1日を生きていくような星回り。
「君」が本当に実在するのかは分からないし、実際にこんなかっこよく言葉を吐ける主人公なんていないだろうけど、それでもこういう俳句に触れると、ああ人間って自由なんだなって勝手に思えてしまう。
難しいことはともかく、とにかく読んでスッとするじゃないですか。そういう「スッとする」という感覚を研ぎ澄ませていくことが、いまのおひつじ座には必要なんじゃないかと思うのです。
というのも、今週は7日にいて座で新月があって、それはおひつじ座の人たちにとって、頭を空っぽにして、小さくまとまりかけている自分を大きく解き放っていかんとする契機でもあるから。
私が私であるというあまりに自明な同一性をほんの少しでも解消して、私は木星であるとか、私はケプラーの惑星運動に関する法則だとか、いや私はこの街でもあるなとか、自由に思えばいい。
「君」はそうやってありえたかもしれないたくさんの自分のうちの1つであったかも知れないけれど、人間は実にいろんな自分になりえるのです。そんな自由の感触をできるだけ肌で感じていきたいところです。
虚空を掴もうとすること
作家の稲垣足穂は、「生涯をかけて虚空を掴まんとせし者ここに眠る」という墓標を、実際に死ぬ20年以上も前に決めていたそうです。
非現実の中に現実を見出し、現実へと噴出してくる夢の中の続きを追うかのような今週のおひつじ座にとって、そんなタルホの姿は大いに励みになっていくでしょう。
「吾々は一生涯を通じて一枚の絵を描かなくてもよく、一行の詩を作らなくてもよい。ただ描き作らんとする念願さえ持っているならば……」(稲垣足穂、「人生は短く芸術は長い」)
今週のキーワード
おひつじ座に戻ってきている天王星に注目