おひつじ座
大きく舵を切る
神話的な旅路
今週のおひつじ座は「ひんがしに霧の巨人がよこたわる」(夏石番矢)という句のごとし。すなわち、神話や童話の世界の感覚を、リアリティーに持ち込んでいくような星回り。
「ひんがし(東)」の「霧」と言うからには朝霧のことだと思いますが、しかしその深い霧を作者と同じように感じられるかどうかは人によって分かれるところ。
しかしあえて「ん」を入れて文語的に表現したのは、この「霧の巨人」が日本神話や列島風土に「よこたわる」かのようなイメージ効果を狙ったのでしょうか。
あるいは、2万年以上前に東の果てを目指してこの列島に渡ってきたいにしえの先祖たちは、日本列島そのものを海霧のむこうに横たわる巨人のように感じていたのかもしれません。
そして今のあなたもまた、これから自分が命を賭して渡りあっていくことになるだろう「霧の巨人」を見出しつつあるのではないでしょうか。
陽(火)と霧(水)の禊ぎを経ることで、まだおぼろげながら、しかし確実に目指すべき方向性を直感し、なにか熱いものが宿りつつある。そんな情緒の調べを感じさせる今週です。
シリウスの導き
古代ポリネシア人がシリウスを目的地への航路を決めるコンパス代わりにしていたように、道を見失った時、古来より人々は導きを求めてシリウスを仰いできました。
その意味では今週のおひつじ座は、新たな船出に際してこれから自分がたどるべき未知の航路を、シリウスに照らして顕わにしようとしている旅人のようでもあります。
シリウスは夜空の星の中で最大の明るさを放つ恒星であり、その異様なほどの輝きは比類がありません。
つまり「航路をシリウスに照らす」とは、この場合、唯一無二の眼差しかたで、自分のこれからの人生の成り行きや、長期的な目標について検討していくということ。
検討や意思決定の過程は、合理的である必要はありません。
むしろ、わけが分からないがとにかくひとつ信じてみようじゃないか、というところから出発していく他ないのです。
今週のキーワード
光は東方より