みずがめ座
重荷と運命を分けるもの
五分の魂
今週のみずがめ座は、「縛されて念力光る兜虫」(秋元不死男)という句のごとし。あるいは、いまの自分にふさわしい重みを背負うことで、一皮むけていくような星回り。
筋肉の働きにしてもそうですが、潜在的な力を十分に発揮させていくには、それなりの負荷をかけていく必要があります。
掲句の「兜虫(かぶとむし)」もまた、遊ぶ子供の気まぐれでマッチ箱でも結びつけられ、まさに「縛され」ることで、小さな体に宿した五分の魂をいままさに発揮せんとしているのでしょう。
こんなことでくじけてたまるか、負けてたまるかと。念力の火だるま状態になって。それは他ならぬ現在のあなたの写し絵そのものではないでしょうか。
そういえば、先日たまたまYOUTUBEで見ていた高校生フォークソングGPに登場していた中3の少年(オンエア時には高校生)が披露した「~samidare~五月雨(崎山蒼志)」という曲の冒頭にも、「虫のように小さくて/炎のように熱い」というフレーズが出てきました。
歌詞全体を貫く世界観が、掲句にもどこか通じているように感じました。
「運命感覚」を深める
一見どうにもならないような圧倒的な力に襲われたり、翻弄されるとき、人はそれを「運命」と呼びますが、この場合焦点となるのはむしろ「運命感覚」でしょう。
つまり、ただ「運命」と呼んでいるときというのは、実際にはそれが本当に運命なのか、偶然(たまたま自分に降りかかったこと)なのか、判断がついていないのです。その状態からは、自分や自分の人生についての確信めいたものは自分の内側からけっして湧いてきません。生きた心地がしないんです。
生きた心地を取り戻すためには、運命に対抗して可能な限りジタバタすること。
自由意志をもつひとりの人間として真っ向から運命に逆らい、上から目線で運命を書き換える“フリ”をすることで、「運命とネゴシエーションする」のです。
今週のキーワード
縛されることは不幸とも運命とも言える