
みずがめ座
普通ではない結びつきを求めて

受け取る側の感受性の問題
今週のみずがめ座は、宇宙人的存在との会話の試み。あるいは、決定的な立場や背景の違いを超えたコミュニケーションの可能性を拓いていこうとするような星回り。
一時期、占いをするタコがメディアで取り上げられたことがありましたが、無脊椎動物の中でもタコを含めた頭足類はかなり大きな頭脳と多くの神経細胞を持っていることで知られています。
人間に対する好き嫌いがあって、気に入らない人間には水をかけたり、餌が不味ければその不満を表明するといった、「人間的」としか言えないような知性を感じさせるのです。しかし、人間と違って彼らは1、2年で死んでしまう短命な生物であり、進化的背景を鑑みても、その知性やハードウェアが人間とはかなり異なったものであることは明らかであり、一見「相互理解」ができるように見えるのが一種の幻想のようにも思えてきます。
この問題に対して、実際の観察に基づく考察を重ね『タコの心身問題』を書いたピーター・ゴドフリー=スミスは、タコとヒトが示す知性は互いによく似てはいるが、それは「他人のそら似」以上のものではなく、進化生物学的には「相同」ではなく、「相似」的類似性と呼ばれるものに相当するという。いわば、昆虫の翅(はね)と鳥の翼の類似性のようなもので、起源が違うもの同士が図らずも似たような形や機能にたどり着いたというだけで、互いに無縁なものであると。
確かに、「知能が高い」というだけで特定の動物を特別視するのは、逆に言えば「バカは眼中にない」と言っているようなもので、それこそ人間の傲慢さの表れでしょう。つまり、コミュニケーションを取れていないのは人間の方かも知れず、受け取る側の感受性が研ぎ澄まされていけば、「知性」とはまた別の基準で「相互理解」の可能性が開けてくるかもしれないという問題は残されているのではないでしょうか。
9月29日にみずがめ座から数えて「知性」を意味する3番目のおひつじ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、問われてくるはず。そうしたコミュニケーションにおいて、ふだん自分が何を感じ取れているのか、またいないのか、といった問題が少なからず問われてくるはず。
世俗の言葉はいらない
コミュニケーションには、契約書や裁判のやり取りなど話の中身が第一に考えられねばならない類いのものがある一方で、話をしている者同士の背景の共鳴だったり、そこで生起する抒情性(じょじょうせい)こそが問われていくような場合もあるものですが、今週のみずがめ座のコミュニケーション運は、おそらく後者の方へと大いに偏っていきそうです。
そしてそれは「同じ話をするのでもこの場所ですればより効果的!」とか「デートで相手を落としやすいお店」いったような、分かりやすい効果を狙ったテクニックや、相手を攻略する駆け引きのためにシチュエーションを利用せよ、といった話とは対極のものであるはず。
そうした「わたし」を主体としたコミュニケーションではなくて、わたしの背後に隠れた「背景」にこそ語ってもらうことで、互いの関係性の中に言葉にはできないような特有の雰囲気が取りこまれていき、その結果としてムードが出来上がっていくのです。
今週のあなたもまた、そうした無言のプロセスを味わいつつも、向きあう相手が何であれ、そこに縁や絆が生じていくことのリアリティーを存分に感じてみるといいでしょう。
みずがめ座の今週のキーワード
まったく同じではないが、似ている。それこそ、コミュニケーションの始まり。





