みずがめ座
ただの器となっていく
不在の顔
今週のみずがめ座は意味のない無色の容器、あるいはコカ・コーラのブランド変化のごとし。すなわち、特定のラベルや記号との癒着を引き剥がしていこうとするような星回り。
日本のマーケティング研究におけるパイオニアである石井淳蔵は「コカ・コーラ」のブランド変化について論じ、薬剤、強壮剤から清涼飲料水へ。そして最終的にはただそこにあるだけ、という“意味のない記号”になったことでブランドが完成したと述べています(『ブランド 価値の創造』1999)。
つまり、クリスマスになればクリスマスの飲み物、オリンピックになればオリンピックの飲み物といったように、それ自体としては意味を持たない無色の容器となることで、どんな記号もまとえる自由を得たわけです。
石井は、指示対象の不在をつくりだし、消費者にそのイメージを委ねることでブランドが作られるのだとも述べていますが、こうしたコカ・コーラのたどってきたブランドとしてのプロセスは、どこか特定のコミュニティやクラスターへの囲い込みや内属化を無効にし、その外部へと突き抜けていこうとするみずがめ座にとって、ひとつのロールモデルとなり得るのではないでしょうか。
9月23日にみずがめ座から数えて「行き着く果て」を意味する9番目のてんびん座に太陽が入座する(秋分)今週のあなたもまた、毒か薬か、敵か味方か、勝ち組か負け組か、といった現在進行形の二項対立的な図式が無効になるような、さらに外側に領域に立っていくべし。
「用の美」の条件
「用の美」とは、その土地土地の風土に根差した民衆の暮らしの中で、日常的に用いられてきた民芸品にこそ美を見出していった民藝運動の父・柳宗悦によって提唱された概念ですが、そこには柳なりの厳しい基準がありました。
まず観賞用ではなくあくまで「実用性」があり、「伝統」と「地域性」が感じられるもので、誰もが買い求めやすいものであること(廉価性)、などなど。中でもその中心的な価値として考えられたのが、「他力性」だったように思います。
つまり、ひとりの個人の力によって成り立っているものではなくて、風土や自然の恵みによって支えられ、また女性や男性、大人と子供など複数の異なる人の手を借りて、繰り返し作られていったものにこそ、柳は「用の美」の真髄を見ていったのです。
ひるがえって、いまのあなたの生活はどうでしょうか?もし仮に「美しい自己完結」というものが人生にありえたとして、果たしてそこに向かうためには何が必要なのか。今週のみずがめ座は、ひとつそんなことを考えてみるといいかも知れません。
みずがめ座の今週のキーワード
美しい必要不可欠さ