みずがめ座
キャッチ&リリース
緊張と不安の代わりに
今週のみずがめ座は、『戦終る児等よ机下より這い出でよ』(渡辺桐花)という句のごとし。あるいは、緊張と不安で自分や他の誰かを縛りあげるような言動を改めて手放していくような星回り。
「戦」は「いくさ」と読ませる。戦時中は空襲警報が出ると、教師はとりあえず教室の机の下に子どもたちをもぐりこませたそうですが、いつの時代も「いくさ」というのは大人たちだけでなく、必ず子どもたちも巻き込まれてしまうがゆえに悲劇を生むのだと言えます。
しかし、作者が教師であったことは確かですが、この句は実際の場面を描いた句ではありません。というのも、終戦当日は夏休み中であり、授業も学校もなかったからです。
とはいえ、卒業した教え子のうち成人したものの多くは戦地に赴いていたのでしょう。とすれば、「机下より這い出でよ」という声は、届くはずもない相手に向けられた緊張と不安の呪縛からの解放の祈りに他ならなかったように思います。
当時の一般市民の人たちの証言などを読んでいると、だんだん口を塞がれて気が付いたら戦争になっていた、という証言にそこかしこで当たりますが、その意味では今という時代もすでに決して「いくさ」とは無縁と言い難い状況になってきつつあるのかも知れません。
その意味で、19日にみずがめ座から数えて「安心感」を意味する4番目のおうし座で下弦の月(意識の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、緊張と不安の代わりに安心と解放をもたらすような言動を心がけていきたいところです。
表裏一体としてのゼウスとヘラ
ギリシャ神話の主神(神々の王)であり天候を司る神ゼウスは、今日ではその業績よりも、どちらかというとその見境いのない浮気癖の方で有名かも知れません。
大恋愛のすえに結婚したにも関わらず、結婚直後から浮気に走り、その後も相手が神であろうが人間であろうが、女だろうが少年だろうが、手を変え品を変え、動物や相手の旦那の姿に変身してでも浮気し続け、その度に妻を怒らせ、嫉妬させ、傷つけあい、騙しあったゼウスは現代の道徳観からすれば間違いなく非難の的になるはず。
しかし2人はそれでも別れることなくそうした関係を続けました。その気になればさっさと別れて心安らげる関係を求めればいいものを、なぜそうしなかったのでしょうか。
それはおそらく、ゼウスが創意工夫の権化であり、変幻自在に姿かたちを変え、絶えず自分の理想を追い求め、世俗のルールやしがらみをもろともせずに、自由に振る舞い続けるその姿が、強烈な想像力のシンボルであり、家庭と家族の神として、世俗の束縛やお堅い社会構造のシンボルであった女神ヘラと表裏一体の関係にあったからではないでしょうか。
そして今のみずがめ座もまた、大きな視点で見れば、まさにヘラからゼウスの側面へとひっくり返って、どこかで型にはまってきた自分を崩していこうとしているのだと言えます。
みずがめ座の今週のキーワード
人生に不可欠な要素としてのゼウスの放蕩