みずがめ座
近代の相克
手抜きのための努力
今週のみずがめ座は、山林伐採をする老練な前近代労働者のごとし。あるいは、きめ細やかに休息を織り込んだ労働を心がけていくような星回り。
まだ日常生活を当たり前に過ごせていた頃の、忙しそうに働いていた会社員を振り返ってみると、次々に書類に手を付けては片付け、電話に応対し、会議をこなしてゆく一方で、その間にタバコに火をつけ、お茶を一杯のみ、「やれやれ」とか何とか言って椅子に坐り直したり、クルクルと回転したり、スマホを開いたり、同僚に軽口を叩いたり、別の課にちょっかいをかけに行ったりしていたはず。
こうした精神健康を維持しようとする傾向は、近代化する以前の労働者たちにおいては、ある種の熟練技として昇華されており、例えば山林伐採に従事する者であれば、ほとんど禁欲的なほど小さな歩幅で山道をゆっくり登り、水分補給や食休みを充分にとって、仲間同士の世間話や会話をたいそう大事にし、大抵は最後まで汗をかくことなく仕事を終えて山を下っていったものだそうです。
翻って、現代人は休息も、迂回もほとんど取らないで、弾丸のように山を上り下りしようとする人が多かったり、見とがめられることを恐れるあまり、「ささやかな遊び」や「ひそやかな楽しみ」を労働に取り入れることがいつまでも下手な人が少なくないように思います。
その意味で、4月9日にみずがめ座から数えて「健康」を意味する6番目のかに座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、心身を破壊するような無茶な働き方や生活習慣からいかに脱していけるかということに取り組んでみるといいでしょう。
「うまくいく」ためのちょうど良さ
親子2代の競馬の騎手であり、叔父や従兄弟にも競馬関係者の多い福永祐一は、馬と騎手との関係について大変興味深いことを述べていました。
いわく、騎手には馬の力を120%にすることなどできない。馬に騎手が乗った時点で、騎手は馬に対してマイナスにしか作用しない。だから、騎手にできることは、そのマイナスをできるかぎり少なくすることなのだと。
その際、大切になってくるのは馬に対する騎手の姿勢や乗馬フォームであって、馬の運動にあわせた体重移動をその都度その都度調整していくことで、馬にかける負担を少しでも下げていくことでしょう。そして、こうした騎手と馬の関係に言えることは、意識と身体の関係にそのまま適用することができるはず。
今週のみずがめ座もまた、どれだけ身体の負担を少なくしていくことができるか、うまくいくために「ちょうどいい」配置や距離や関係を追求してみるべし。
みずがめ座の今週のキーワード
上限や無理しない範囲を決める