みずがめ座
いのち同士の戯れ
食の相と性の相
今週のみずがめ座は、「蟷螂の尋常に死ぬ枯野かな」(宝井其角)という句のごとし。あるいは、特別なセレモニーにみずから参加していくような星回り。
蟷螂(カマキリ)のオスは卵をうむ寸前のメスに食われてしまいますが、メスの腹の中には卵は既に完成されていて、オスの頭を食べても別に栄養になる訳ではありません。
つまり、これは性の相と食の相とが交錯する特別なタイミングに行われるセレモニー以外の何ものでもないのであって、そこにはつまらない感傷や耳障りがいいだけで、かえってこの世の真実を歪めてしまうようなストーリーが入り込む余地はないのです。
掲句もまた、そうした生と死をつかさどる宇宙のリズムに支配された生物の生業を見事に語り尽くしているのだと言えますが、それでも人間のそれはしょせんカマキリのさとりにはとうてい達していないのではないでしょうか。
11月5日にみずがめ座から数えて「種の論理」を意味する10番目のさそり座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、この世のあれやこれやと少しでも個人的な野心や執着を超えたところで関わっていくにはもってこいのタイミングとなるはず。
タゴールの生命観
インドの大詩人タゴールが残した「生の実現」を意味する著作『サーダナ』の中に、次のような一節があります。
われわれは至るところで生と死との戯れ―古いものを新しいものに変える働き―を見ている
生命は自分の行動を妨げようとする老化を嫌う
老化は実際には生命そのものではなく、生命に付き従う影に過ぎません。私たちの生命は、川の流れのように、岸にぶつかると、おのれがそこに閉じ込められていると感じるのでなく、かえって海に向かって無限に開かれているのを実感します。
生命が詩と同じように、たえずリズムを持つのは、厳格な規則によって沈黙させられるためではなく、自己の調和の内面的な自由をたえず表現するためである
そう、生命はその本質として、ただ生き永らえようとするためにだけでなく、いのちを表現しようとするのであり、「遊ぶ」ということの本質もそこにあるのではないでしょうか。
今週のみずがめ座は、名前の付いた個人やそれに紐づくあれやこれやに引っ張られるのではなく、そんな内なる生命の赴くまま、自分自身を可能な限りほとばしらせていくといいでしょう。
みずがめ座の今週のキーワード
遊びとは、いのちの表現