みずがめ座
焼け野原化計画
廃墟願望
今週のみずがめ座は、発散空間としての廃墟のごとし。あるいは、自分自身をある種の「焼け野原」化していこうとするような星回り。
311の震災のあとに多くの若者がボランティアに集まり、個人差こそあれみなある程度のレベルでいきいきとしていったのは、そこにやりがいや自己貢献感を見出したからではなく、どこにも発散のしようがなくて鬱積していたエネルギーを一挙に発散できる「廃墟」があったからではないでしょうか。
というのも、社会というのは高度にシステム化していくほど、そこで暮らす人がシステムに依存的になっていくため、自分とシステムが不可分となって何の負い目もなく無邪気に体制批判することができなくなってしまう。
「革命」ということも、日本では歴史的に真の意味で経験したことはありませんから、エネルギーがたまっても、飛びつくものが不在のまま、ただ体だけが息苦しくなっていく。
ただ、今の社会状況ではこれまでの日常がどんどん非日常化していますから、ある種の人たちにとって解放感が得られやすい状況になってきているのだとも言えます。
5月11日にみずがめ座から数えて「治外法権の場所」を意味する12番目のやぎ座で、土星の逆行(常識の反転)が起きていく今週のあなたにおいてもまた、そういうエネルギーの発散そのものがテーマとなっていきそうです。
エネルギーの詰まりを抜く
戦後、反俗・反権威・反道徳的言動で時代を象徴した‟無頼派”の代表的作家・坂口安吾は、『堕落論』のなかで戦争について次のように書きました。
「けれども私は偉大な破壊を愛していた。運命に従順な人間の姿は奇妙に美しいものである。(中略)あの偉大な破壊の下では運命はあったが、堕落はなかった。無心であったが、充満していた。」
「充満」という言葉の対極においてイメージされているのは、身体のバランスの不安定であり、脳が興奮して過度にエネルギーが頭部に集まり過ぎている状態、つまりエネルギーの鬱積です。
いわゆる「気が上がってる」というのもこの状態のことで、春になるとおかしな人が増えると言われているのも、冬から春にかけて身体がだんだん開いてきているのに、頭部だけガチガチに緊張してエネルギーが抜けていかないために起こる現象です。
今週のみずがめ座のテーマは、いわばこの頭部のエネルギーの詰まりを抜くことであり、何も考えずにただポケーっとしたり、無心になれるだけの時間や場所を確保することだとも言えるかも知れません。
今週のキーワード
無念無想