みずがめ座
静かなる引き寄せ
聖なる瞬間の構成
今週のみずがめ座は、「窓開けて煙草吸ふ妻冬の月」(トオイダイスケ)という句のごとし。すなわち、純粋な自分の悦びのために必要なものをたっぷりと時間をかけて思い起こしていくような星回り。
「吸ふ」という文語表現が、意味的にも、また音の感触的にもよく効いている一句です。
月光に照らされる妻の横顔。ゆっくりと吐き出される紫煙の広がり。それは作者にとってこの上もなく神聖なものに映ったのでしょう。
煙草を吸「ふ」際に妻へと流入した空気は、やがて「ふ」ゆの月目がけて吐き出され、その煙は句全体と夜の世界へと広がっていく。それは作者にとってとても贅沢なビジュアルであったと同時に、他の何よりも精神的なくつろぎをもたらしてくれるサウンドだったのかも知れません。
翻って、今のあなたの心の中には、自分がこの世で最も神聖だと思えるモノや場所や相手はいるでしょうか?
13日(月)から14日(火)にかけて、みずがめ座から数えて「心の聖域」を意味する12番目のやぎ座で太陽と土星と冥王星が正確に邂逅していく今週のあなたもまた、掲句を詠んだ作者のように自分なりの仕方で聖なる瞬間を呼び起こし、そこに十二分に浸っていく時間が必要とされていくでしょう。
めぐりあうもの
もしあなたが、“それらしきもの”や候補とまがりなりにも向かい合う機会があったなら、その時は次の一節によく心に留めておくといいかも知れません。
「人生の師は子ども、末期患者、掃除婦などあらゆるかたちをとって目の前にあらわれる。だれかを助けるということに限り、世のいかなる学説や科学も他者に対して、こころを開くことを恐れないひとりの人間の力にはかなわない。」(『人生は廻る輪のように』、E・キューブラーロス)
おそらく、あなたがもっとも「こころを開」ける相手やそんな状況こそ、「聖なる」という形容詞にもっともふさわしいのではないでしょうか。
そしてそういう相手や状況というのは、自分から見つけようとか、振り向かせようとする形ではなく、かならず「めぐりあう」ようにして、相対していくことになるものであるはず。
できうる最大の準備は、その時を待ち望み、決して逃さないとこころに決めておくことです。
今週のキーワード
『第一感―「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』