みずがめ座
SFを紡ぐ
真の科学精神
今週のみずがめ座は、小松左京の『継ぐのは誰か?』というSF小説のごとし。あるいは、自らを「進化していく側」から「進化を促す側」へと回らせていくような星回り。
この作品において、著者はコンピューターを用いた理論的な普遍生物学を提唱し、可能な進化パターンを見ようという研究を描いたという点で、近年の人工生命研究を50年以上前に予言していた訳ですが、改めてその先見の明には驚くべきものがあったように思います。
作品テーマは「人類を越えるもの、人類を継いでさらにその先に行くものはいないのか」ということなのですが、これは今年国連でのスピーチで話題となった環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんなどにも見られる若い世代を中心とした「(地球は)そろそろ限界を迎えつつある」という共通認識とも表裏の関係にあるものと言えるでしょう。
途中、舞台である学園都市の学生たちの指導教授が、警察関係者から「人類の危機なので協力してくれ」といわれた際に、苦笑しながら次のようなセリフを言う場面があります。
「科学は、人類が滅びるのを助けるために一肌脱いだりしませんよ。人類が滅んでしまっても、一向にかまわない。もちろん、「人類の滅びの論理」には若干の興味はあるでしょうがね。私は、人類が滅びる時でも、そうした覚めた目で、最後まで見届けたいと心掛けています。」
これは、科学の真の姿に触れたものでもあると同時に、特に今のみずがめ座の人たちの意識にも通じやすいのではないかと思います。
27日(水)にみずがめ座から数えて「未来への展望」を意味する11番目のいて座で新月が起きていく今週は、そうした自分や社会やはたまた人類を俯瞰した、普遍的な視点に立って、自らの属すコミュニティの未来を見つめていきたいところです。
未来のモデル化
科学の歴史というのは、シンボルで書かれた「虚」の世界と、予測不可能な動きと多様な事象に満ちている「実」世界の“共進化”の歴史であるのだとも言うことができるかも知れません。
そして科学において打ち立てられる仮説は、複雑系としてある実の世界の色々なプロセスを幾つか切り出して、その干渉が織りなす世界を構成してみるというモデル化の作業でもありますが、これは極めて物語づくりと似ているように思います。
その意味では、今週のみずがめ座のテーマは、自分なりの未来物語を紡いでいくことにあるのだと言えるでしょう。
今週のキーワード
人類の滅びの論理