みずがめ座
狂った社会と生きたリズム
夜業と夜風
今週のみずがめ座は、「夜業人に調帯(ベルト)たわたわたわたわす」(阿波野青畝)という句のごとし。あるいは、入り組んだ不調和を、なんとかただしていこうとするような星回り。
「夜業(やぎょう)」は秋の季語。もともとは夜長の季節に農家の人たちが夜なべ仕事をしていたのが季語となったものですが、近代化した社会では農業に限らず、夜遅くまで行われる労働を言い表すようになりました。
掲句は明治生まれの人で、そうした近代化以降の労働現場で「夜業」という言葉が用いられたものとしては最も早い時期のものの1つでしょう。
納期の迫った作業場で、延々と続く作業。恐らく機械のベルトの作動音であろう「たわたわたわたわ」という擬態語が、そんないつ果てるとも知れない夜業のやるせなさをユーモラスに伝えてくる。
それに応じるように開いた窓から秋風が吹き込んで、服に染みついた汗やじとっとして停滞していた空気をいくらか爽やかにしてくれる。
ブラックな労働現場の話がニュースを飛びかう現代においても、残業労働はともするとただ「責め苦」として受け止められがち。
中秋の名月が過ぎて22日(日)の下弦の月へ向け、徐々にリラックスした空気が流れていく今週は、いつの間にか見失われた自然との調和やユーモアを少しでも取り戻していくことで、日々の生活に巣食った生きづらさ(不調和)を軽減していきたいところ。
リズムを合わせる
古来から人は、太陽が昇り沈んでいくリズムで活動し、また月の満ち欠けに生命の神秘を感じて生き死にを繰り返してきました。
太陽の運行に基いて一定の時間に眠り、一定の時間に自然に目が覚めたり、感情の浮き沈みなどとも関係してくる月のサイクルは、そうしてすっかり私たちのDNAに刻み込まれているだけに、それらへの同調がいったん大きく崩れてしまえば、生命としての本能や天との結びつきも壊れてしまいます。
だからこそ、かつて人々は何をやってもうまくいかない「呪い状態」から復活する際には、必ず日月いずれかのリズムにのって自分たち本来の姿を見出してきたのです。
ある意味で、あらゆるリズムが崩れて不協和音がなり続けている現代社会は、社会全体が呪いの状態にあるのだとも言えます。
そんなことを踏まえた上で、今週はできるだけ家事や労働を通じて、人生に神聖さの感覚を取り戻していきましょう。それが今あなたにとって一番大切なことです。
今週のキーワード
自分が少しでも生き生きとできる自然のリズムやサイクルを見つけていくこと